武田薬品工業は2019年、自社よりも規模が大きい欧州のライバル企業シャイアーを買収し、負債規模で世界最大級の製薬会社となった。その4年後、負債比率を健全とされる水準まで引き下げたばかりか、予定より1年早く、想定より9億ドル多いコスト削減を達成した。投資家はアジア最大の製薬会社が株主への配当を維持しながら600億ドルの負債を返済できるのか懐疑的だったが、武田はその両方を実行した。同社の純有利子負債/調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)倍率(企業が負債を返済するのに何年かかるかを示す指標)は2022年12月31日時点で2.5倍となり、シャイアー買収時の約5倍から低下している。買収後に武田の売上高は倍増し、22年3月期は約300億ドルとなった。買収発表前の18年3月期は146億ドルだった。