1970年代以降、学者やプロ投資家がこぞって議論してきたことがある。それは「市場が効率的かどうか」、すなわち「株価には入手可能な全ての情報が反映されており、それゆえ株価は公正な水準であるかどうか」だ。この議論から、「投資家が市場バリュエーション戦略を用いれば『市場のタイミングを計る』ことが可能になり、長期的にポートフォリオのリターンを高めることができるのか」という一つの疑問が生まれた。筆者と研究助手の2人(ドゥルブ・ペリ氏とシュンホイ・リー氏)はこれを検証することにした。その結果、少なくとも現在の近代的市場においては、このような戦略がほとんど奏功しないことが分かった。筆者らが分析した戦略は、株式市場全体の株価収益率(PER)を基準に、株式から債券にポートフォリオをシフトするタイミングを判断するものである。基本的な考え方は、PERが上昇すると株式は割高になり、調整が入ってもおかしくないため、投資家は、より安全性の高い債券に移行すべきというものだ。