花粉症患者は年間20万円損をする?
日本経済にも打撃

(6)経済損失は6兆円?
 さて、この季節、花粉症を持つ人にとっては仕事がはかどらないのが悩みですが、それをきちんと計算した人たちがいらっしゃいます。

 日本経済への影響という観点で有名な調査が、パナソニックが2020年1月に発表した「社会人の花粉症に関する調査」で、それによれば花粉症でパフォーマンスが低下していると感じる時間は、1日平均で2.8時間になるといいます。

 パナソニックはそのような調査をもとに、花粉症による労働力低下がもたらす日本全体の経済損失は1日2215億円と推計しています。花粉症の症状がひどい期間が仮に1人当たり1カ月続くと考えると、その合計は6兆円。花粉症をなめてかかってはいけないかもしれませんね。

(7)国民の4割が花粉症
 さて花粉症の嫌なところは、ある日突然発症することです。あるあるな話として、前の年に「俺は花粉症なんかかからないからな」と周囲に威張っていた人に限って、翌年に発症する例が多いように思います。

 花粉症の人の割合は、計測方法によって異なります。医師の診断を受けた人の割合で見ると3割ぐらい、自己申告で花粉症の症状を自覚している人で見ると5割くらいまで幅があるようです。2019年の厚生労働省の最新調査でも「正確なところは分かっていない」としながらも、スギ花粉症は38.8%という数字を発表しています。約4割ですね。

 その前の2008年の調査では26.5%だったので、この10年で患者数は約1.5倍に増えたわけです。自分とは無関係と油断しないほうがよさそうですね。

(8)花粉症患者は年間20万円も損をしている?
 私個人の症状から考えると、やはりこの時期、仕事の生産性は大幅に落ち込んでいます。まず目がかゆくてしかたなくて朝起きると目ヤニがたまってしまい、一番ひどい時期にはコンタクトレンズが入らなくなります。そしていつも鼻の奥がムズムズしていて、一言で言えば仕事に集中できません。

 先ほど「花粉症は6兆円の経済損失」と言いましたが、これは花粉症にかかっている4割の人だけに集中する損失です。その観点で概算すると、ひどい花粉症にかかっている20日間で個人の仕事の損失は約20万円にものぼります。

 サラリーマンならこの損失は会社がかぶってくれますが(笑)、フリーランスのビジネスパーソンの場合はまるまる個人の損になってしまいます。損失を抑えるにはマスク、空気清浄機など何らかの対策が必要ですね。