写真:花粉症写真はイメージです Photo:PIXTA

花粉症の季節がやってきてしまった。例年と比べて、今年は花粉飛散量が多いという報道もあり、戦々恐々と日々を過ごしている人もいるかもしれない。自然に治ることが少ないという花粉症だが、実は根治につながる治療方法があるのだという。JCHO大阪病院耳鼻咽喉科部長の前田陽平氏に、花粉症の最新治療方法について話を聞いた。(清談社 小松重秀)

花粉症になる人が
都会に多い理由

 環境省の調査によると、今年のスギの雄花の花粉生産量は、関東、北陸、近畿、中国地方などにおいて、過去10年で最も多く、今春の花粉飛散量は極めて多い見込みだという。

 実際に花粉症の症状に悩む人のくしゃみやはなをかむ音を町中で聞くことが増えてきた。例年は軽い症状で済んでいたが、今年は症状が激しいという人も増えている。JCHO大阪病院耳鼻咽喉科部長の前田陽平氏によると、「花粉症の症状の表れ方については、個人差が非常に大きい」という。

「当人がアレルギー反応を引き起こしやすい体質かどうかという本人側の要因と、どれほど花粉に触れる機会が多いかどうかという環境的な要因、双方が引き金となって花粉症になると考えられています。花粉にたくさん触れることでアレルギーを起こしやすくなりますので、環境によって症状の程度も変わってくるのです」

 日本では、花粉症を引き起こす抗原としてはスギが最も多いそうだ。また、ヒノキやシラカバのような樹木だけでなく、カモガヤといった雑草の花粉によって花粉症が起こることもあるのだという。海外では、スギなどが生育していない国も多く、その点日本は花粉症にかかりやすい国といえる。

「海外で長く暮らしてきた方が、日本に移住すると数年たって花粉症になってしまったという話は珍しくありません。もちろんスギ花粉症はスギ花粉がない場所では症状が出ませんから、スギ花粉の飛散量の少ない北海道などに引っ越すと、スギ花粉症の症状は出にくくなります。」

 また、自然の多い田舎では花粉の量も多いだろうと思われがちだが、実は都会のほうが花粉量が多いというケースは少なくないそうだ。

「土は花粉をとどめてくれるので、山がちな地域では意外と花粉が飛んでいないことも多いのです。逆に、都会のアスファルトやコンクリートでは花粉が地面に吸収されず、風を受けて何度も空中に舞い上がるため、人の体内に花粉が入り込みやすい環境にあります」