ロート製薬の2本目の柱
企業戦略の定石通り
一つは、創業事業である胃薬です。『クイズダービー』など昔の番組のコマーシャルでは目薬のVロートとともに胃腸薬のパンシロンの宣伝がよく流れていたことを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
ロート製薬は1899年に「胃活」という胃腸薬を発売して創業し、その10年後にロート目薬を発売して、それ以降、胃薬と目薬の2本柱で会社の成長が始まります。
現在、ロート製薬は目薬の国内シェアでは43%と強みを持ちつつ、高額目薬と呼ばれる商品群が高成長でアイケアビジネスの成長をけん引しています。ロートは新しいものに挑戦するという社風が有名なようにR&D(Research and Development、研究開発)に力を入れていることで知られていて、日本国内における製薬会社の特許資産規模では国内企業2位のポジションにつけています。
要するに既存商品の利益が上がっているうちに新しい商品開発に投資を行うという、会社の寿命を突破する定石通りの活動を行っているわけなのです。
また、目薬のように「医薬品全体でみれば小さな池」で「大きな魚になる」というのは企業戦略のもう一つの定石で、高収益企業になることができます。しかし、この戦略のデメリットは規模の面で成長しづらいというマイナス面が存在します。
ここがロート製薬の面白いところなのですが、Vロートなどの昭和の時代の目薬が絶好調だった時代に、3本目の柱への投資を行ったことで、実は新たな成長の基礎を築くことができていたのです。