倒産危険度ランキング2022【ワースト100】ハウステンボス売却のHISが31位、1位は?【再編集】Photo:PIXTA
ゼロゼロ融資終了や原材料・資源の高騰、人手不足、世界経済の減速懸念などを背景に、企業の倒産への懸念が高まっている。そこで、ダイヤモンド編集部が上場企業3935社の「倒産危険度」を総点検してランキングした記事の中から、よりすぐりを再度お届けする。

ゼロゼロ融資終了、暴力的な円安の進行、資源価格高騰――。企業を取り巻く環境の激変とともに、世界的な金融引き締めの動きもあって、景気後退待ったなしの2023年。大倒産時代が、ついにやって来る。まずは総合版として、上場企業3935社の倒産危険度を総点検。リスクの高い509社をあぶり出した。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#1では、ワースト100を紹介する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

※本稿は2022年10月31日に公開した記事を、再編集したものです。数字を含む全ての内容は取材当時のままです。

2023年は大倒産時代のとば口に
今こそ注目の倒産危険度ランキング

 2023年は確実に、大倒産時代のとば口となりそうだ。

 新型コロナウイルス禍で企業の資金繰りを支えてきた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の実績は、累計でなんと約42兆円にもなる。結果、企業の有利子負債残高は近年にない水準まで膨れ上がっており、収益を回復できないまま生き延びているゾンビ企業があふれるようになった。そのゼロゼロ融資もいよいよ9月に終了。次なる延命措置は不透明なままだ。

 そこに襲い掛かったのが、ロシアによるウクライナ侵攻で加速した資源価格高騰であり、暴力的ともいえる円安の進行である。価格転嫁の波に乗ることができない企業は、コストアップに押しつぶされて、来年窮地に陥るだろう。

 ところが、帝国データバンクの9月の調査によれば、価格転嫁率は4割未満にとどまっているという。コストが100円上昇しても、36円しか販売価格に反映できていないのだ。

 さらに、各国の中央銀行は、インフレ抑制のため金融引き締めの動きを加速している。世界的に景気後退の可能性が高まっており、日本経済への大打撃は必至だ。来年以降ゾンビ企業の淘汰が進むのは、ほぼ間違いない情勢なのだ。

 今こそ、経営リスクの高い企業を見分けることが重要である。その手引きとなるのが、公開情報から算出した「倒産危険度(Zスコア)」だ。

 米国の経済学者、エドワード・アルトマン氏が1968年に考案したもので、短期的な資金繰りの圧迫度や負債の負担度合い、売り上げや利益を生み出す効率性など、五つの指標の合計値により算出される。

 合計値が低いほど倒産リスクが高まり、1.81未満になると「危険水域」だ。1.81~2.99も倒産の懸念を否定できない。逆に2.99を上回れば、倒産の可能性はほとんどないといえる。

 ダイヤモンド編集部が上場企業3935社の倒産危険度を総点検したところ、509社が危険水域と判定された。海外旅行事業の落ち込みで巨額の赤字が続き、資金確保のためテーマパーク「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)の売却を迫られたエイチ・アイ・エス(HIS)は31位だった。

 ワースト20までを見ると、事業存続に疑念があるとして監査法人に「イエローカード」を突き付けられる企業が16社に上った。決算短信で事業存続性に疑念ありとする「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」(GC注記)や、GC注記には至っていないものの事業継続に重要な疑義があるとして「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載があった企業である。その比率は8割という高さになった。

 また、ワースト20の中には、昨年後半に鳴り物入りで上場したばかりのエネルギー企業や、自力で経営再建できず他社に救済される格好で上場廃止となった交通インフラ系の会社も含まれている。他にも、ネット広告やホテル、観光、繊維、サービスといった業界の名の知れた企業が並ぶ。

 さらにワースト100には、鉄道会社や大手電力、不動産会社、大手航空会社といった大企業も複数ランクインした。なお、昨年までワースト100に入ってこなかった業界で、業界内で2位の会社が顔を出した。売上高は1兆円を超えるが、足元で急速に経営が悪化していることが分かった。

「2022年版 倒産危険度ランキング」のワースト100にはどんな企業が名を連ねたのか。個別に確認していこう。