倒産危険度ランキング2022【航空・鉄道25社】4位西武、2位ANA、1位は?【再編集】Photo:PIXTA
ゼロゼロ融資終了や原材料・資源の高騰、人手不足、世界経済の減速懸念などを背景に、企業の倒産への懸念が高まっている。そこで、ダイヤモンド編集部が上場企業3935社の「倒産危険度」を総点検してランキングした記事の中から、よりすぐりを再度お届けする。

海外旅行の制限や在宅勤務の普及と、コロナ禍で大打撃を受けた航空・鉄道業界。最悪期は脱しつつあるものの、倒産危険度という指標を通すと厳しい現実が浮き彫りになった。ダイヤモンド編集部は市場環境が激変した16業界についてそれぞれ倒産危険度ランキングを作成。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#5で取り上げるのは、航空・鉄道業界だ。25社が危険水域に入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

※本稿は2022年11月2日に公開した記事を再編集したものです。全ての内容は取材当時のままです。

航空券+賃貸住宅のサブスク開始
航空業界の苦境が奇策の背景

 飛行機もサブスクの時代か――。

 福岡県北九州市の中堅航空会社スターフライヤーが、従来の航空会社にはあり得ない奇策を繰り出そうとしている。北九州~羽田空港間を何度も乗れる航空券と、福岡県内の賃貸住宅をセットにしたサブスクリプション(定額課金)サービスを来春までに開始するという。価格は月額20万~40万円程度の見通しだ。

 同社は今年8月に、こちらも航空会社としては異例の通販大手との資本業務提携を発表した。創業者高田明氏のキャラクターで知られる、ジャパネットホールディングス(HD)が株式14.2%を取得し、筆頭株主であるANAホールディングス(HD)に次ぐ第2位の株主となったのだ。

 スターフライヤーの、なりふりかまわない奇策と異例ずくめの行動には理由がある。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の影響が直撃した航空業界。国土交通省の航空輸送統計によれば、2021年度の国内線の旅客数は前年度比47.2%増の4969万人で、国際線は同120.6%増の176万人と最悪期を脱しつつある。

 それでも19年度の国内線の旅客数1億0187万人、国際線の2143万人と比べると半分以下の水準だ。加えて、スターフライヤーの22年3月期の純損益は49億円の赤字(前期は100億円の赤字)。何としても、機内の空席を埋めて売上高を少しでも積み上げる必要があるのだ。

 航空業界と共通する収益構造を持つのが鉄道業界だ。両業界共に固定費比率や損益分岐点比率が高く、減収は即、利益の激減や赤字幅の拡大に直結する。その上、鉄道業界も航空業界と同じく、コロナ禍からの回復が遅い。21年度の旅客数は188.1億人と前年度から6.4%増えたものの、19年度の251.9億人には遠く及ばない(国交省の鉄道輸送統計)。

 今回、ダイヤモンド編集部では航空・鉄道業界の倒産危険度ランキングを作成。すると、25社が“危険水域”に入っていることが判明した。

 大手企業では、ANAHDがワースト2位、西武ホールディングス(HD)がワースト4位になった。1位になった航空・鉄道会社はどこか。JR各社や大手私鉄の順位は?次ページでは、ランクインした企業の実名と顔触れを見ていこう。