コロナ禍で人の流れが変わり、街のアパレルショップへの客足はいったん遠のいた。短期間で人の嗜好、売れるジャンルが変わったことにより、コロナ禍前から弱っていたアパレル業界の序列は激変している。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#7で取り上げるのは、アパレル関連業界だ。37社が“危険水域”に入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
※本稿は2022年11月3日に公開した記事を、再編集したものです。数字を含む全ての内容は取材当時のままです。
爆発的人気を誇ったサマンサタバサの苦境
「コナカか三井住友銀行の追加支援は必須」
人気モデルのエビちゃんこと蛯原友里さんや、ヒルトン姉妹など有名セレブを多数起用し、きらびやかなイメージ戦略に成功――。
若い女性を中心に、爆発的な人気を誇った服飾雑貨のサマンサタバサジャパンリミテッド。しかし、流行の変化のスピードは速い。その後ブームは去ってしまい、2022年2月期まで6期連続で最終赤字が続く苦境に陥っている。
新型コロナウイルス感染拡大で経営が一層厳しくなったサマンサは、20年7月に紳士服コナカの子会社となった。同年10月には、メインバンクの三井住友銀行など4行から長期借入金で87億円を調達。返済期限は23年10月末で、一括返済の契約だった。
だが、サマンサの業況は一向に好転しない。「23年10月に87億円全額を返済するのは、経営計画上も資金繰り上も困難なことが早々に分かった」(同社の関係者)という。
同じ条件で23年10月以降も融資を継続してもらうため、サマンサは銀行側に構造改革案を示したが、思うように進捗していないもようだ。実際、足元の業績も引き続き苦しい状況である。
22年3~8月期の純損益は9億9800万円の赤字(前年同期は24億円の赤字)。自己資本比率は5.5%まで低下してしまった。
もはや、サマンサ単独では、いかんともしようがない。前出の関係者は、「生き残るためには親会社のコナカか、メインバンクの三井住友銀行による追加支援は必須だ」と強調する。ただし、コナカもコロナ禍で受けたダメージは大きく、経営的な余力は乏しい。サマンサの今後は、三井住友銀行の判断が鍵を握りそうだ。
一時期、国内のアパレル業界を席巻した欧米のファストファッションですら、相次いで日本から撤退しているほど経営環境は切迫している。以前から弱っていた国内勢は、典型例であるサマンサのように、コロナ禍による売上高の激減で、さらなる苦境に陥っているのだ。
円安による仕入れ値や物流費の高騰、中国の都市封鎖(ロックダウン)で商品に納期遅れが生じるなど、悪材料には事欠かない。インフレが進行する中で、消費者が衣料品の支出を一層抑える懸念も強まっている。
そこで今回、ダイヤモンド編集部ではアパレル業界の倒産危険度ランキングを作成した。すると、37社が“危険水域”に入っていることが判明した。
サマンサはワースト7位にランクインした。経営が非常に厳しい同社よりも順位が悪いアパレル企業はどこか。次ページでは、上位企業の顔触れを見ていこう。