2000年代以降にも、ソニーとサムスン電子の液晶パネルの合弁事業や、日立とLG、東芝とサムスンの光ディスク事業などで日韓は連携してきたし、韓国の半導体や液晶パネルメーカーも、日本の部材メーカーや設備メーカーと連携をしてきた。
一方、2010年代以降になって、日本や韓国あるいは日本とも良好な関係を保っている台湾のエレクトロニクス・自動車関連産業を脅かしているのは中国の存在だ。意外と知られていないことだが、日中の国交がなかった時代、日本の自動車メーカーの多くは台湾市場に進出し、日本国内の自動車部品サプライヤーも自動車メーカーと一緒に台湾に進出していた。
その後、日中国交が正常化し、日本の自動車メーカーが中国本土に進出する際には、台湾のサプライヤーが日本メーカーと一緒に大陸に進出して、現在の日本の自動車メーカーの中国ビジネスを築くなど、日台の自動車産業の連携には長い歴史がある。
日本、米国、韓国、台湾の連携が
急務となる理由
国際競争で中国の脅威が増し、中国の巨大な内需と社会主義国特有の国内産業保護を中心とした中国政府の政策に支えられた中国企業の競争力強化の中で、民主主義と自由経済という同じ価値観と、相互で協力ができる産業構造を持つ日本と韓国と台湾は、うまく関係を保ち、協力して中国との競争に対応することが、全体最適となるはずだ。
日韓関係の悪化で漁夫の利を得るのは、中国に他ならない。また、台湾と韓国も別の理由で関係があまり良くないという歴史もある。米国は最近、半導体において自由主義経済陣営で連携する「チップ4」の構想を打ち出している。日本、米国、台湾、韓国の半導体産業が協力して中国半導体産業に対抗していこうというアイデアだ。しかし、歴史的な経緯から日韓関係、台韓関係など必ずしもスムーズに連携できる状況でもなかった。
また、韓国には別の事情もある。韓国は内需が少なく、輸出に経済を依存しており、その輸出相手として中国が大きなウエイトを占めているので、大きく中国の機嫌を損ねることができないという事情がある。特に文在寅前政権は、米国よりも中国との関係を重視し、中国依存を強めてきたので、世界が中国の通信技術や半導体技術に疑問を持ち、中国包囲網を築く中で、韓国の現政権は難しい立ち位置で舵取りを行うことが迫られている。
しかし、中国国内の政府による管理強化や、ロシアのウクライナ侵攻における中国のロシア寄りの姿勢に対して、欧米諸国が明確に中国にノーを突きつけ始めた中で、韓国には文在寅政権時のような、中国にも米国にもいい顔をしようとするコウモリ外交はもはや許されず、旗色を鮮明にすることが求められている。