『M-1グランプリ』出場芸人は
極度の緊張にどう立ち向かうのか?

――では、経験を積むうちに慣れて心が強くなるというよりは、毎回、心を折られながら、なんとか続けている、という感じなんでしょうか。

本多 慣れて強くなるということはもちろんあると思います。それでも時にはペキン、と折れてしまう瞬間が、たくさんあると思います。たとえば、『M-1グランプリ』のような大きな舞台に挑むとき、舞台裏では、緊張感がすごいんです。

 テレビの画面越しでは、堂々と立っているように見えるでしょう。でも、現場の近くでよく見ると、みんな、膝がガクガクに震えているんです。

――ネタを披露している最中もですか?

本多 最初から最後まで、ずっと震えてるコンビもいましたね。緊張もプレッシャーもすごいんでしょうね。大爆笑をとっている最中でも、膝がガクガク。時間経過とともに通常にもどっては行きますが、あまりの緊張で、本番前に戻してしまう人も多いみたいです。

本多正識

――視聴者として観ているときは、全然、気づかなかったです。てっきり、ある程度キャリアを積んだ芸人さんなら、メンタルもかなり鍛えられて、平常心を保てるものなのかと。

本多 『M-1』のように大きなコンテストには、お客さんだけでなく、審査員席に島田紳助さん、松本人志さん、上沼恵美子さんなど、錚々たる顔ぶれが並んでいて、その前でネタを披露するわけですからね。想像もつかないような、迫力と緊張感が漂っているんだと思います。