OGP画像「ニーズの種を見出し、形にする」スキルが大事だ Photo:Ezra Bailey /gettyimages

企業、とりわけ製造業の皆さん、デザイナーの使い方を間違えていませんか? デザイナーというのは「見た目を整える」だけではありません。デザイナーに対する印象がこのような状況になったのは、デザインの価値をうまく伝えられてこなかった、私たちデザイン業界に携わっている人間にも責任があります。 一方、商品や事業をヒットさせるために必ず行わなければならないことがあります。そのときに役立つのがデザイナーのスキルです。本稿では、主に3つのポイントを解説していきます。ぜひ皆さんも一緒に、デザインの力の使い方、そして、デザイナーとの関わりを、アップデートしていきましょう。(グッドパッチ 西村 洋)

進めるうちにめざす戦略とズレてしまう……
市場から思ったような反応が得られない……

OGP画像西村 洋(にしむら・ひろし)
(株)グッドパッチ UXデザイナー。大手電機メーカーにて、金融端末、エネルギーインフラ、鉄道などの製品における、UXリサーチやコンセプトデザインなどを担当。その後、コンサルティングファームやVRスタートアップを経て、2019年にグッドパッチに参画。新サービスのアイデア企画から体験設計、開発ディレクションなどを担当し、現在は、製造業向けの業務支援ソフトウエアやBtoBのビジネスプラットフォームなどのプロジェクトに従事している

 競争力の維持や、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応すべく、新規事業や意欲的な新商品の開発に取り組む企業は多いでしょう。

 しかし、日本企業でこれがうまくいっているという例はあまり耳にしません。それどころか、話題を集める「イケてる」サービスは海外のものばかり。技術力に大差があるわけではないのに、一体なぜなのでしょうか? また、現代ではヒット商品や新事業を生むことが昔よりもはるかに難しくなっています。その理由は何でしょうか?

 大きな理由として、「多くの人に共通するニーズを見つけ出すことが難しくなった」ことが挙げられます。

「金脈」となるニーズはすでに散々、掘り起こされていますし、生活者の嗜好も年々、多様化しています。

 つまり、商品や事業をヒットさせるためには、これまでの「大きなニーズを見つけて、そこへ一気に投資する」から、「小さなニーズを見いだし、徐々に領域を広げていく」という発想への転換が重要になるのです。

 では、どうすれば、小さなニーズ、潜在的なニーズを見い出だことができるのでしょうか?