成長に欠かせない「フィードバック」を得たいなら、まず実行すべき“ギブ”とは?Photo:PIXTA

 2024年に卒業する学生の就職活動が本格化している。コロナ禍が区切りを迎えた今、企業はどんな学生を求めているのか。就活で失敗しないためのコツを、Googleの元新卒採用責任者である草深生馬氏が著した『チームワーカー Googleで学んだ最速で成長できる行動原則』から一部を抜粋・加筆して紹介する。

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成長にはいいフィードバックが欠かせない

 僕は、フィードバック(自分や相手の成長につながる指摘)は受け取るよりも渡すほうが難しいと考えています。

 自分が誰かにフィードバックする立場になったときのことを想像すればわかると思います。相手の成長を願った適切な言葉を投げかけるというのは、そう簡単なことではありません。

 つまり、ここでお伝えしたいのは、もらう側が自分自身の成長につながりそうなフィードバックを引き出そうとすることの大切さです。

 どうしたら相手がより適切で本質的なフィードバック、改善点を含め、前向きな成長を願うフィードバックを自分にくれるようになるでしょうか?

 一番効果的な方法は「ギブから入る」ことです。よく「ギブ・アンド・テイク(give & take)」と言われますが、あの「ギブ」です。つまり、先に「相手のために何かをする」ということ。

就職後にも役立った学生時代の経験

 たとえば僕の場合、高校でも大学でも「周りの人に比べて自分は圧倒的に遅れている」という自覚がありました。自分がとても小さな山村から飛び出してきた田舎者だ、という卑下もあったと思います。だから都会育ちの優秀な人たちの視座を手に入れて、早く成長していかなければいけないという焦りがあったわけです。

 ただ、知り合いがまったくいませんでした。そういう状態でいきなり「教えてよ」と言っても、相手は僕がどれほど真剣にそう言っているのかわかりませんから、気持ち悪がられるだけ。でも、草深はいいやつだ、面白いやつだ、まじめなやつだ、よく努力するやつだなどと好感をもってもらったうえで、「教えてよ」と頼めば、親切に教えてくれるに違いない。当時の僕は、そんなふうに考えました。

 要するに、まず周りの人とゼロから信頼関係を作っていく必要がありました。