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インキュベーションの虚と実

ピボットは罪か必然か
カン違いせず、大胆にやる事業転換

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第21回】 2013年2月18日
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 クイック・ピボットは、例えばYコンビネーターなどインキュベーターが数ヵ月行うアクセラレーター・プログラムの中で、アイデアをつくり試してみるといったもの。これだと思ったらiterate=繰り返しトライする。しかし、落ち目やイケてないモノをなんとかしようというのはダメだ。

 投資にあたっての評価で、我々は、コミットメント、チームの適性、コホート(ユーザー群の)、エンゲージメント(本当に使っているか)を問う。

 ビッグ・ピボットで求められるものはいくつかある。まず、コミットメント。女性のピボットの漫画のように、簡単にスイッチされてはかなわない。そしてパッション。よく知っているものや信じているものへのピボットだ。それからスキル。チームの強みに合致した方向に進むべき。そして、できるだけリーンでいることが大切だ。

 ビジネス・モデルのピボットは、プロダクトよりやりやすい。エリック・リースも「同じビジョン、新たな戦略」と言っている。それに、多くのイノベーションはディストリビューションにある。なお、ビッグ・ピボットは、企業文化のフィットも課題となり、新会社にした方がいいことがしばしば。Zyngaもその一つの例だ。

 ピボットは、若い会社だけのものじゃない。アップルやノキア、マイクロソフトも大きな転換をした。アップルは倒産の危機でマイクロソフトからの出資で生き延びて、コンシューマー・エレクトロニクス事業にピボットした。マイクロソフトは、1995年にビル・ゲイツの号令でインターネットに方向転換した。みなさんノキアが紙の会社だったのは知ってるよね。

 既にできあがった事業からのピボットは、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなど創業者だからできる。だから、こういう局面を考えると、創業者をクビにするのは間違いだ。するとグルーポンを救えるのは創業者のアンドリュー・メイソンだけかもしれない。

 ピボットの基本とは何か。ピボットは少しの変更じゃない。ピボットを言い訳にしない。そして、市場・ユーザーからのフィードバックに基づくこと。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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