不動産デベ新序列 バブル崩壊前夜#4Photo by Ryo Horiuchi

一戸建て市場で圧倒的な存在感を示すオープンハウスグループ。そのオープンハウスグループが、マンション事業で財閥系デベロッパー3社に挑戦状をたたき付けている。特集『不動産デベ新序列 バブル崩壊前夜』(全6回)の#4では、競合デベとは一線を画すオープンハウスグループ流のマンション戦略に迫る。オープンハウスグループの急速な台頭は「メジャー7」と呼ばれてきたマンションデベ大手7社の序列を大幅に変えている。「シン・メジャー7」の顔触れも大胆に定義する。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

今期の販売目標は2440戸
実現すれば財閥系3社と肩を並べる

「オープンハウス?確かに土地の仕入れでは競合といえるけどねえ。そもそもうちとは顧客ターゲットも売っている商品も違うし、ライバルという認識はない」

 財閥系マンションデベロッパーのある中堅社員は、そう切って捨てる。まるで「オープンハウスなんて眼中にない」と言わんばかりの口ぶりだ。

 ところが、である。一戸建て事業で急成長したオープンハウスグループが、破竹の勢いでマンションを建てて売りまくっている。実は、オープンハウスグループに対して無関心を装う財閥系マンションデベロッパーは肉薄されているのだ。

 オープンハウスグループは中期経営計画「行こうぜ1兆!2023」で売上高1兆円を掲げていた。その大目標は、2023年9月期に達成する見込みだ。1兆円という大台へのけん引役の一つがマンション事業なのだ。

 23年9月期のマンション販売戸数目標は、前期の2倍に当たる2440戸で、売上高は1200億円を見込む。実現すれば、いよいよ三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産といった財閥系マンションデベロッパー3社とマンション販売戸数(次ページにランキング掲載)で肩を並べることになる。

 オープンハウス・ディベロップメントの川上智宏取締役マンション開発事業部長は目標達成にこう自信をのぞかせる。「すでに今期目標の9割以上は契約済みで、目標は達成する見込み」。

 不動産市況を巡っては“バブル崩壊前夜”の雰囲気も漂うが、オープンハウスグループにはどこ吹く風だ。川上氏は「財閥系は強い。それでも、中長期的にはマンション業界のトップに立つよう精進する」と闘志を燃やす。

 次ページからは、財閥系マンションデベロッパーへの下克上をもくろむオープンハウスグループのマンション事業の独自戦略を解き明かす。実は、オープンハウスグループの戦略は、自社のビジネスを急速に伸ばすだけでなく、競合の大手マンションデベロッパーにもボディーブローのようにダメージを与えているのだ。ポイントは「スピード」だ。強烈な破壊力を秘めるオープンハウスグループの戦略とは何か。

 そして、オープンハウスグループの急速な台頭によって、大手マンションデベロッパー7社「メジャー7」の序列も激変している。ダイヤモンド編集部の分析を基にした、「シン・メジャー7」の新たな顔触れもお届けする。