白熱!土地争奪戦#3Photo:PIXTA

大和ハウス工業の戸建て部門が苦戦している。用地仕入れの不調によるもので、ここに起死回生の一手を打った。破竹の勢いで成長するライバルのオープンハウスにどう対抗するのか。特集『白熱!土地争奪戦』(全6回)の#3では、両社の仕入れ戦略と戸建て用地争奪戦の行方を探る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

大和ハウスが土地仕入れで振るわず
パワービルダーに後れを取った

「ここ1年ほど土地の仕入れが振るわなかった。物不足だった」

 ハウスメーカー大手の大和ハウス工業の関係者はそう振り返る。グループ売上高4.4兆円を誇る大企業の資金力と情報力をもってしても、戸建て用地をなかなか獲得できない。それほどまでに開発用地が少なくなり、戸建て市場では争奪戦が激化している。

 きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大だ。テレワークの普及により、手狭な賃貸マンションに代わって仕事部屋を確保できる戸建ての需要が一気に高まった。

 そこで攻勢をかけたのが、分譲住宅を得意とする飯田グループホールディングスやオープンハウスなどのパワービルダーだ。

 パワービルダーとは数区画に分けて一定規格の住宅を安い価格で建てて大量に販売している事業者で、大手デベロッパーが手を出さないような形状がいびつな土地や郊外の土地でも先行してどんどん買う。こうした分譲住宅はすぐに住み替えしやすいこともあり、コロナ禍において人気を博した。戸建てバブルはパワービルダーがけん引したともいえる。

 一方で、大和ハウス工業などのハウスメーカーが得意とする注文住宅を建てようとすると、購入者が住みたい土地を自ら探し出して、デザインなどの設計から考える必要があるため、分譲住宅より手間暇がかかる。パワービルダーや同業他社との競合が激しくなって土地不足になると、土地の手当てに時間がかかって後れを取り、売れる家の数も必然的に減る。

 そのため、例えば今年9月の主なハウスメーカーの受注速報値を見ると、受注棟数が軒並み前年比マイナスとなるなど苦戦を強いられている。大和ハウス工業はこの悪循環から抜け出すため、起死回生の一手を打った。

 次ページでは、大和ハウス工業とオープンハウスの土地の仕入れについて、戦略の違いと今後の作戦を明らかにする。