近年、「論破」という言葉が多用されるようになりました。“論破ショー”なるものが、テレビやネットの番組で数多く放送され、「はい、論破」「エビデンスは?」などというフレーズを小学生も使うほど。しかし、「論破しようとする人は決して、頭がいいとはいえません」と『頭のいい人が話す前に考えていること』の安達裕哉氏は断言します。本記事ではコンサル22年で得た知見を恐縮した書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』の中から、頭のいい人が論破せずにやることについて記述します。
論破しようとする人は頭がいいとは言えない
論破しようとする人は決して、頭がいいとは言えません。
仮に論破できたとしても、信頼されるどころか恨まれかねませんし、論理的に説得できたからといって人が動くわけではありません。
テレビ番組は、議論して、良い解決策を見つけることが目的なのではなく、あくまでTVショーとして、視聴者にプロレス的なもみ合いを見せることを目的としています。テレビで論破する人たちはテレビ(の視聴者)が求めているものに沿って論破しているのでしょう。
そのショーに影響を受けて、人と議論するたびに相手を論破しようとするのは、プロレスに影響を受けて、プライベートでいきなりプロレス技をかけようとするようなものです。
仲のいい友達ならじゃれ合いとして成立するかもしれませんが、ビジネス現場では、軽蔑されるだけです。
「論破する」というのは、人と闘い、打ち負かす行為です。
頭のいい人は、決して人と闘いません。その代わりに“あるもの”と闘います。
頭のいい人が闘うものとは……