自分の考えていることが、うまく人に伝えられない」「人とコミュニケーションをとることに、苦手意識がある」と悩む方は多くいます。しかし、その悩みこそ「相手とよい関係を築き、人を動かす」ための第1歩に変えられるのです。『超完璧な伝え方』の著者、4代目バチェラー・黄皓氏による「誰とでもスマートに人間関係を築く」ための簡単なテクニックを紹介します。

「人間関係がうまい人」が「交渉」で絶対に言わないことPhoto: Adobe Stock

「相手が何を言ってくるか」想像しておく

仕事をしていると、相手と交渉する場面がたくさんあると思います。

交渉では基本的に「何が出てきても動じない」スタイルを貫けると強いものです。

そのためにも、交渉に臨む前にまず自分の5W1Hを明確にしなければなりません。

そして、相手が何を言ってくるかもあらかじめ想像しておきましょう。

交渉である以上、自分のニーズと相手のニーズには必ず乖離があるはずです。

その乖離を大前提として、提示される条件を想定するのです。

そのうえで、自分と相手の質疑応答も想定し、答えを用意しておきます。

「今日はこの交渉をしに行くので、相手からは、おそらくこういう返答がくる。そしたら、こう切り返す」事前にイメージしておきましょう。

私は交渉に臨む前に、返答のパターンを10通りは準備するようにしています。

そして、想定をするなかで、自分が受け入れられる範囲のゴールも決めておきましょう。

「ここまでは譲れるけれど、これ以上は譲れない」という境界線をあらかじめ定めておくのです。

これらの準備をしたうえで、交渉に臨みます。

絶対に相手を否定しない

この本ではコミュニケーションの前提として勝ちすぎないことが大切とお伝えしました。

交渉においても100%勝つのではなく、「5勝5敗に見える6勝4敗」を目指すべきです。

ポイントは、すべての会話において絶対に相手を否定しないこと。

たとえば、自分が提示した条件Aに対し、相手は「いやー、うちはBじゃないとだめですね」と食い違いがあったとします。

そのとき、「いやいや、Aでお願いしますよ」と自分のニーズを押し付けてはいけません。

「そうですよね。いやー、Bは絶対いいですね。〇〇さんにとっては、Bじゃないと厳しい面もありますよね」と一度受け入れるようにしてください。

しかし、これは受け入れたフリなんです。

「いいですよね。わかります。じゃあBを実現するうえでも、私たちとしてはこういう要素がないと難しくて、ここだけ叶えてくれませんか? それで限りなくBに近い条件をお届けすることができます」

このように相手のニーズを受け入れているように見せながら、自分のニーズに寄せていく。

これが交渉で目指すべきスタイルです。

交渉は非常に難しいコミュニケーションですが、原則は相手と対等であるはずです。

対等な関係においては、相手をムキにさせることが一番の損になってしまいます。

相手に一定の満足感を与えることが大事です。

「でも・しかし・とはいえ」など、相手を否定する言葉は絶対に使わないでください。

まず示すべきは相手への共感や敬意なのです。

些細なことに感じるかもしれませんが、相手を否定しないというのは、交渉に限らずあらゆるコミュニケーションの基本であり、王道のテクニックでもあります。

(黄皓著『超完璧な伝え方』から一部を抜粋・改変したものです)