今や崩壊寸前のマニュライフ生命保険。その子会社代理店、マニュライフ・ファイナンシャル・アドバイザーズも混乱の渦中にある。乗り合い代理店にもかかわらず親会社の保険を無理やり売らされ、幹部同士のゴタゴタも勃発、機能不全に陥っているという。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#9では、マニュライフ生命子会社の惨状を暴いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
マニュライフ生命の子会社代理店
「マニュライフを売れ!」に方針転換
東京都港区・六本木にそびえ立つ超高層ビル、六本木グランドタワー。坪単価5万円超とされるこのビルの37階には豪華な絵画や家具を取りそろえ、300坪弱のオフィスを構える保険の乗り合い代理店の本社がある。それが、マニュライフ・ファイナンシャル・アドバイザーズ(以下、MFA)だ。
社名が示す通り、親会社はマニュライフ生命保険だ。節税保険の中でも悪質とされる名義変更プランに傾倒したことで金融庁の逆鱗に触れたのに加え、社員の退職が相次ぎ、苦境に陥っている生保だ(本特集#1『マニュライフ生命の断末魔!悪質節税保険が招いた金融庁検査の中身と、社員大量退職の実態』)。
もっとも、親会社の苦境に対して子会社MFAは、比較的順調だった。ところがだ。昨年9月に社長が交代して以降、MFA社内が混迷し始めているという。
「マニュライフの保険を売れ!」
これが、現在のMFAの方針だ。親会社が生保とはいえ、MFAは複数社の商品を取り扱う乗り合い代理店である。しかも、ホームページの求人募集の採用情報ページには「複数の企業の商品から最良の商品を提供できる環境をアドバイザーに用意しています」と記載されている上、採用時には「マニュライフ縛りはない」との説明を行っている。
要は、あまりにもマニュライフの保険が売れないために、方針を大きく転換せざるを得なくなったというわけだ。
しかも、マニュライフの保険を売らせるための強引なやり口に加え、社長の強権的な言動に対し、社内からは非難の声が多数上がっている。
いったいMFA社内で何が起こっているのか。次ページ以降で、詳述していこう。