選別される生保・損保・代理店#1Photo:Akio Fujita, Peter Dazeley/gettyimages

節税保険の中でもキワモノの名義変更プランに傾倒し続け、金融庁検査を招いてしまったマニュライフ生命保険。いよいよ検査の出口が近づいてきた。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#1では、金融庁検査の中身を探ったのに加え、検査のさなか社員の大量退職が始まっている実態にも迫った。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

金融庁検査で悪質節税保険にメス
マニュライフを見限る社員が大量退職

「『名義変更による節税を目的とした保険募集』について、どのように評価していますか?」

 法人向け節税保険に過度に傾倒し、金融庁の逆鱗に触れた外資系生命保険会社、マニュライフ生命保険。今年2月14日に金融庁検査を招く事態に陥った。

 その4日後の18日、ブノワ・メスレ社長から全社員に一通のメールが届いた。金融庁検査の一環として「社員アンケート」を実施するというものだ(下写真参照)。

マニュライフ生命の断末魔!悪質節税保険が招いた金融庁検査の中身と、社員大量退職の実態Photo by A.F.

 写真下段にある「アンケートリンク」。このリンク先には、10個の質問項目が並んでいる。むろん、アンケートの回答を求めているのは、金融庁である。

 詳細は後述するが、質問項目10個のうちの一つが、冒頭に挙げたものだ。マニュライフ社内に「節税文化」がどれくらい浸透していたのか――。

 この金融庁検査も大詰めを迎え、役所の事務年度が終わる6月末までには終了するとみられる。その後、マニュライフは検査のために止まっている人事異動を行い、大胆なリストラ策を検討しているもようだ。だが、すでに社員の大量退職が始まっている。

 もはや金融庁検査の結果を待つまでもなく、マニュライフを見限る社員が続出しているわけだ。

 次ページ以降では、金融庁検査の全貌に加え、社員の大量退職の実態について詳述していこう。