少額短期保険 111社の大乱戦#9Photo by Yoshihisa Wada

根拠法のない無認可共済から発展した少額短期保険業界。その名残からか、今でも情報開示の消極性やコンプライアンス意識の欠如が課題として指摘され続けている。特集『少額短期保険 111社の大乱戦』(全10回)の#9では、日本少額短期保険協会の渡邊圭介会長に、課題解決に向けた決意を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)

金融機関としての自覚を
加盟会社には求めていく

――少額短期保険業界には、情報開示の消極性やコンプライアンス意識の欠如などの課題が指摘されています。どう捉えていますか。

 協会加盟会社の中に、ディスクロージャー(情報開示)やコンプライアンス、ガバナンスが不十分な会社があることは重く受け止めています。実際、2年連続で行政処分された業者が出てしまいました。少短業界は金融機関であることを自覚しなければなりません。

 消費者の方々に信頼していただくためには、まず金融機関としての佇まいをしっかりとしたものにすること。2006年に誕生した若い業界で、ベンチャー企業も多く、業界には金融や保険会社以外の会社がたくさん参入していますが、それを言い訳にはしません。最低限、金融機関として一般の企業よりも高いレベルのコンプライアンス意識、ガバナンスの体制を持っていなくてはいけないと考えています。

 一方で、“保険村”の住人ではない企業が多いので、保険の常識にとらわれず、テクノロジーを積極的に活用しながら、お客さまに必要な商品を追求していくことができる良さがあります。

 来年には日本生命保険が参入しますが、そうした大手生命保険会社が持っているガバナンスやコンプライアンスの水準を学びながら、斬新なアイデアで商品を作っていく特徴を生かして、魅力的な業界にしていきたいですね。

――今回、ダイヤモンド編集部では全少短業者の業績データをまとめるために、ホームページで情報開示をしていない業者に開示をお願いしましたが、納得できる理由もなく拒否する業者が複数、存在しました。そうした業者に対して、協会はどう対応するのでしょうか。

 情報開示に消極的な会社がある問題は、協会として強く認識しています。