今なら目指せる! 医学部&医者#23Illustration by Yukiko Kikutani

受験のカリスマ・和田秀樹医師の医学部専門塾が、生徒の保護者による授業料返還訴訟で敗訴した。その生徒は合格の可能性が低い大学ばかり受けていた。それなのになぜ、和田氏の訴えは認められなかったのか。特集『今なら目指せる! 医学部&医者』(全24回)の#23では、訴訟に至る経緯、保護者の法廷での証言など一連の騒動の裏側をレポートする。(教育ジャーナリスト 庄村敦子)

「この子は東大に行く運命」
合格させてくれない塾が悪い

 この子が生まれたときから東京大学に入る運命を感じていた。だから東大に合格させてくれなかった塾を訴えた――。

 言い分の是非はともかく先頃、法廷の場でこの保護者の訴えが認められた。訴えられたのは、精神科医の和田秀樹氏。多数の著書があり、昨年に上梓した著書『80歳の壁』はベストセラーになった。医学のみならず、灘中学・高校(兵庫)から東大理科三類に進学した経歴を持ち、受験関連で執筆するだけでなく、塾経営も手掛けている。

 そんな和田氏が、自身の経営する医学部受験専門塾「和田塾MEDS」に通った生徒の保護者から塾代返還訴訟を起こされ、敗訴した。

 なぜ、この親の訴えが認められたか。