日本株は33年ぶりの高値
背景には日本経済の見直し
東京株式市場で日経平均株価がバブル崩壊後の高値を更新し33年ぶりの高水準となるなど、日本株は堅調な推移を続けている。こうした動きの背景には、日本経済の底堅さが見直されていることがある。
米国、欧州経済は、金融引き締めの継続に加え、銀行不安もあり、景気の先行きに対する懸念が払拭しきれていないが、日本経済は、金融緩和が継続しているほか、遅れてきた経済再開・正常化に向けた動きもあり回復を示している。
GDP統計をみると、23年1~3月期の日本の実質成長率は前期比年率プラス1.6%と、明確なプラス成長が示されている。22年後半にやや伸び悩んだ個人消費は、23年1~3月期に、実質ベースで前期比年率プラス2.4%となるなど勢いを取り戻している。経済再開・正常化の動きに加え、部品の供給制約の緩和で自動車生産が増加基調となる中、サービス消費や自動車などの耐久財消費が大きく伸びている(それぞれ同3.3%増、同25.8%増)。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための入国規制などの水際対策が緩和され、インバウンド需要が大幅に増加している。実質ベースでみると、インバウンド需要(非居住者家計の国内での直接購入)は前期比で67%増加しており、前期比年率ベースでみたGDP押し上げの寄与度は1.1%となっている。
インバウンド需要を名目値でみると、23年1~3月期は9,300億円弱となり、季節調整済みの年率換算値では4兆円弱となっている。コロナ禍前の19年は4.6兆円弱となっていたが、23年1~3月期は19年対比で86%強まで水準を戻していることになる。
今年の人出・インバウンド
4月以降も回復の動き続く
国内の消費やインバウンド需要の回復の動きは、4月以降も変わっていないとみられる。国内の乗用車販売が4月も前月比で増えているほか、サービス消費との連動性が高い人出の動きも4月、5月と増加が続いている。
NTTドコモなどのデータをもとに内閣官房が発表している全国主要地点(60地点)の日次の数値をもとに、人出の季節調整値を推計すると、15時時点の人出は、4~5月(5月24日まで)に1~3月期比で1.4%増加している。全国歓楽街(63地点)の人出は同6.7%増となっている。
インバウンド需要に関しては、4月の訪日外客数の持ち直しの動きが確認されている。4月の訪日外客数は194.9万人で、コロナ禍前の19年4月比で67%の水準となっている。1~3月期は19年同期比で59%だったことから、持ち直しがさらに進んだといえる。
4月のインバウンドを国・地域別にみると、韓国からが最多の46.7万人で、コロナ禍前の82%まで回復している。そして米国、メキシコ、シンガポール、インドネシアはコロナ禍前を上回ってきている(それぞれ108%、113%、114%、122%)。一方、中国からの来訪は、4月にコロナ禍前比で15%程度にとどまっているが、1~3月期の同7%弱に比べると持ち直している。