ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. リーダーになるために「野心」は必要でしょうか
読者からの質問① キャリア形成に非常に関心があります。ジルさんのように、内向型でありながらリーダーになった方は、キャリア序盤から「野心」をお持ちでいらっしゃったのでしょうか。
それとも「リーダーになりたい」と思っていなくても、目の前のことをこなしていくうちに、結果的にリーダーになったのでしょうか?
「日々ベストを尽くす」ことを大事にしていた
ジル・チャン氏 内向型にも様々なタイプがあるので、私の経験が誰にでも当てはまるというわけではないのですが、私自身は「リーダーになりたい」という野心は全然ありませんでした。
そういう強い意志はなくとも、「日々ベストを尽くす」ことを積み重ねていった結果として、自分のキャリアを築くことができたと考えています。
もちろん、著者やチームリーダーといった発信力のある立場にいま立てていることで、多くの人の人生やキャリアに、自分の経験や考えを役立たせることができるようになったことは、とてもうれしく思っています。
ただし、特定の地位につくことを目指そうとすると、どうしてもそれがプレッシャーになってしまいます。
何より大事なのは「業務で成果を出す」ことです。なので、自分の心理的負担になるような高い目標は掲げず、目の前の仕事に最善を尽くし続けるほうが、リーダーになる近道かもしれないですね。
日本文化からたくさんのパワーをもらった
読者からの質問② 仕事の息抜きは何ですか。モチベーション維持のためにやっていることがあれば教えてください。
ジル・チャン氏 かなり一般的かもしれませんが、落ち込んでいるときは音楽を聴いて、気持ちを高めるようにしています。
私は、90年代のJ-popを聴いて育ちました。なので、仕事がうまくいかないときには、安室奈美恵さんやZARDのようなパワフルな楽曲を聴いて、何度も勇気づけられました。
あとは、職場で辛いことがあった際には、主人公が困難に立ち向かう映画を観て、自分を鼓舞することもあります。
最近も、『岳-ガク-』という日本映画を観ました。極寒の雪山で山岳レスキュー隊が人命を救う話なのですが、あまりに過酷な環境でも懸命に頑張り続ける姿を見て、「私が直面している問題なんて、この逆境と比べたらちっぽけなことだ」と気持ちを楽にすることができました。
私は、日本の文化作品からたくさんのエネルギーを日々もらっています。