同一待遇であれば欧米企業よりも日系企業を選択するアジアの働き手たち
海外現地の働き手側からは、日系企業はコンペティティブな就職先として捉えられていないことは冒頭にご紹介した。では、欧米系企業と比較した場合、あらゆる項目で日系企業は働き手にとって劣後すると捉えられてしまっているのだろうか。そこで「同一条件(賃金、待遇など)のオファーを受けた」という前提をおいた上で、欧米系企業、日系企業、その他アジア系企業の3つの中から、どれを最優先で検討するかを各国の働き手に聴取してみた。
分析結果からは、アジアの中ではインド、タイ、中国の働き手は同一条件を提示されれば、欧米系企業よりも日系企業を選択する傾向にあることが確認された。この結果から、この条件を担保できれば、日系企業にも人材獲得という観点からチャンスがあると解釈できるであろう。
また、「『日系企業』と聞いて何をあなたは思い浮かべますか? あなたの頭に浮かんだものをすべてお知らせください」と日系企業に対するイメージを純粋想起で聴取してみると、各国の働き手は「技術」「品質」の高さや「安定」「信頼性」に関わる内容を想起することも確認できている。以上のように、各国の働き手たちからポジティブなイメージで捉えられていることは、日系企業にとって強みとなるアセットと解釈できる。