理念経営を海外拠点へ

佐宗 前回、今回と企業理念を人事の仕組みに組み込んでいくやり方やそのメリットをお話しいただきました。木下さんとしては今後、どんなことに挑戦していきたいですか?

木下 これまで、メルカリの拠点は日本とアメリカにしかなかったのですが、昨年に初めてインドに法人をつくって、ここ1年で40人くらいを採用したんです。先日、1週間ほどインド拠点を訪れたのですが、メルカリのミッションに共感して入社を決めた若手社員がたくさんいることを改めて実感しました。よかったなと思う一方で、まだ入社まもない社員ばかりだということもあり、バリューはまだ浸透しているとは言えない状況です。今後、海外拠点を増やしていくうえで、インド拠点は一つのモデルケースとなります。バリューが高いレベルで浸透している環境をインド拠点でつくりたいなと思いますね。

 このとき、メルカリにとって強みになるのは、じつは40人中4人は6年前からはじめたインドからの新卒採用、あるいは中途採用で日本のメルカリに入社して働いていた経験があるということです。その4人は社内で昇格してシニアエンジニアになって帰国しているんです。こういう優秀な人材が自国に戻り、その拠点でメルカリのカルチャーの伝道師になってくれているのはうれしいですね。こういった伝播の輪を、世界中でもっと広げていきたいと思っています。

佐宗 さまざまな取り組みによってミッションを実現していらっしゃる姿に、なんだか壮大な作品を見せてもらったような気持ちになりました。本日はどうもありがとうございました!

【メルカリ人事責任者に聞く】「人事制度」と「会社の理念」をつなぐには?

(対談おわり)