2週間の休みで何する?テーマパークのハシゴもできる!

水谷 事前申請期間を設定しての運用ルールが、公平性の担保に役立っているのではないかなと思います。あとは組織の幹部が率先して取っていることでしょうか。このポジティブ・オフのやり方は2016年4月から導入されましたが、上の者から実践していこうという意識はそれ以前からありました。

 もう昔の話になりますが、NTTグループの成り立ちは、官営で行われてきた電信電話事業が1952年に「電電公社(日本電信電話公社)」に引き継がれたことから始まります。

 私は現在勤続25年ほどで、新入社員の頃には、他の企業と比較しても福利厚生が手厚い印象でした。ポジティブ・オフの制度はなかったですが、その当時も連続1週間は休めていましたね。

高崎 休みを大切に考える企業風土があったので、ポジティブ・オフも取り入れやすかったのですね。御社のみなさんは、休暇をどのように過ごされているのでしょう。

水谷 社員の背景も子育てや介護のある人、家族をもつ者、独身者とさまざまで、過ごし方は人により多岐にわたります。ですが今回のカタールのように、遠くまで旅に出られる時間をつくることは可能ですね。みんなしっかりリフレッシュして、休めることのありがたみを知ってくれています。休暇を当然のものとして、いたずらに権利を振り回すことはなく、「お休みをありがとうございます」と感謝する雰囲気です。個人的な印象として、長期休暇後の仕事の勘を取り戻すのに、半日から1日は必要になる感覚があります。

 私自身、夏には2週間の休暇を取得しています。1週間は遠出の旅行、もう1週間のうち数日は近場に出かける。2日間くらいは子育てに疲れて、家でゆっくり過ごします(笑)。

高崎 1週間の旅行となると、滞在としては長丁場です。水谷さんのご家族はどんなところに行かれるのでしょう?

水谷 高校生の子どもがいることもあり、テーマパークや遊園地が好きです。まず大阪のユニバーサル・スタジオ、次の日は三重のナガシマリゾートで遊び、そのあとは近くの名古屋のレゴランドと、連日移動しながらめぐったこともありました。

 テーマパークのハシゴ!この3つの施設は2時間以内で移動できる圏内なので、1週間の期間があるなら、宿泊しながらでも十分余裕を持って回れます。

 長い休みとなると海外など遠方に旅することを想定しがちですが、日帰りや1泊プランが定番の国内の観光地を組み合わせてめぐるのも、長期間だからできる旅のスタイルです。春なら桜前線に合わせて1週間かけて日本列島を北上したり、秋なら紅葉の名所を辿っていくこともできますね。日本国内をじっくり満喫できるバカンス、それも良いなぁ……!

 なんて、つい楽しげなバカンス・プランに気が向いてしまいましたが、水谷さんのお話で重要なのは、休暇制度の運用ルール。「全員が公平に」「連続1~2週間の休みを取得すること」を、今の日本社会・法制度でも可能にしていることです。重要なポイントとしては、

●事前申請期間を設ける仕組み
●上役から実践していく意識
●各人の2週間程度の休みであれば、部署内の業務分担で対応できる

 の3点が挙げられるでしょう。