ホテルの新・覇者#11Photo:PIXTA

インバウンド受け入れ再開はホテル業界にとって追い風のはず。それなのに「再開は恐怖でしかない」とホテルマン。人材が大量に流出し、需要の急回復に応じ切れなくなっているのである。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#11では、大手ホテルの人事担当者が覆面座談会でホンネをぶつけ合った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

コックが枯渇して
レストランが開けない

――ホテルの現場は、人手不足で何が起きているのでしょうか。

Aさん(外資系大手ホテル勤務) うちはコックさんが枯渇しています。このためフルでオペレーションができないので定休日を設けたり、ディナーだけやらない日を設けたりしている。ホテルオーナーの不満がこちらに向かってくるなど、人がいないことにより不協和音が出ています。他のホテルではサービススタッフも足りなくなっています。

 特に若手の離職が多い。飲食業界でいえば、昔はホテルに就職すれば安定しているし、業界の中ではそこそこ良い給料だった。ところが今は街の飲食店の方がサラリーレンジは高かったりして「月30万円~」とかで求人がある。30万円ってホテルだと、ある程度年数を重ねた人じゃないと出せない給料。さらに福利厚生も良くなってきた。このような逆転現象で「ホテルで働くメリットって何?」っていう話になってきています(次ページにホテル・旅館・宿泊施設業界の「年収」「転職先」データを掲載)。