大学 地殻変動#18Photo:PIXTA

国公立大学が推薦入試に力を入れるようになった。この流れを受けて、推薦入試が行われる「年内入試」の合格者数で関西の高校がしのぎを削っている。特集『大学 地殻変動』(全21回)の#18では、「年内入試に強い関西の高校リスト」を作成した。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

私立大は年内学力試験で“青田買い”
国公立大の推薦強化で新たな流れ

 関西では、一般選抜入試のように学力で評価する入試が年内においても実施されている。

 推薦入試が行われる「年内入試」には、自己推薦で受ける総合型選抜、高校からの推薦で受ける学校推薦型選抜、付属・系列校からの内部推薦などがある。一般選抜が年明けに実施されるのに対し、これらの推薦入試は年内に行われるため「年内入試」と呼ばれる。

 学校推薦型選抜には「公募推薦」と、私立大学のみが行う「指定校推薦」がある。このうち前者の公募制で、基礎的な学力を測る試験を課し、実質的に学力で評価する入試が行われているのだ。

 実施しているのは私立大学で、「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)といった受験難度中位クラスがメインプレーヤー。その大きな狙いは、一般選抜前の“青田買い”である。

 年明けの一般選抜で国公立大学や難度上位の私立大学群である「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)を受験する学力上位層が、早い段階で滑り止め先を確保しようという感覚で受験するのだ。

 ところが「一般選抜で関西大学に合格できるであろう受験生が、近畿大の公募制で不合格になることが珍しくなくなった」と、進学塾の阪神進学アカデミーで代表を務める松田元気氏は言う。滑り止め確保を狙う者が集まり、難度が一般選抜以上という現象が起こるのだ。公募制には偏差値が存在しないために難度を測りにくく、気軽な気持ちで受験すると痛い目に遭う。

 年内入試に学力重視の試験が入り込む関西では、首都圏に比べると、志望理由書や面接、論文などで勝負する推薦に比重を置く大学が少ない。このタイプの推薦と相性がいい「探究学習」に力を入れる高校もまだ少ない。

 しかし、受験難度上位の高校を中心に流れは変わり始めた。国公立大学が推薦入試に力を入れてきたからだ。京都大学や大阪大学への推薦合格者数で各高校がしのぎを削っている。

 ダイヤモンド編集部では、教育業界に携わる専門家たちに「年内入試に強い高校はどこか」を問い、「年内入試に強い高校リスト」を作成した。次ページでは、関西編のリストを掲載する。京都大の推薦に強い高校、大阪大の推薦入試に強い高校はどこか。