大学 地殻変動#21Photo:PIXTA

地方のトップ私立大学は、首都圏の中堅大学群「日東駒専」クラスの受験難度でありながら、旧帝国大学を本命とする受験生に併願先として選ばれている。旧帝大を含む国公立大学落ちを拾う“地方のコバンザメ”は他の中堅・下位大学と一線を画する。特集『大学 地殻変動』(全21回)の最終回では、エリア有力私立15大学について、ベネッセコーポレーションの協力で1982年以降42年間の偏差値の推移をまとめ、大学通信の協力で一般選抜入試の実質倍率を10年前と比較した。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

国公立落ちを拾う“コバンザメ”
他の中堅・下位大学と一線を画する

 旧帝大落ちを拾う“コバンザメ”――。全国各エリアでトップクラスに入る私立大学は、旧帝国大学(東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学)を本命とする受験生に地元の併願先として選ばれる。

 早稲田大学が東京大落ちの学力トップ層を拾いにいくのだから、旧帝大のコバンザメとして立ち回るのは私立大学であれば当たり前。地方トップ私立大学のすごみは、首都圏の中堅大学群「日東駒専」(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)クラスの受験難度でありながら、その立ち位置にいることだ。

 地方都市には早慶(早稲田大、慶應義塾大学)やMARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)に相当する高い難度の大学がない。旧帝大や難関国立大学に落ちた受験生は、首都圏や関西の難関私立大学、あるいは後期日程でエリアで2番手や3番手の国立大学に流れる。これに加えて、地元に残るという選択の下、地元トップ私立大学にも流れるのだ。

 少子化で地方国公立大学の難度が下落傾向にあり、首都圏や関西の難関私立大学を合格圏として併願しにくくなっている。故に地元トップ私立大学は、地元国公立大学の滑り止め併願先としての役割も昔以上に強まっている。

 次ページでは、首都圏・関西以外の有力私立15大学について、42年間の偏差値推移早見表、および入試倍率を掲載。中部、北海道・東北、中国・四国、九州の各エリアの“コバンザメ”事情をレポートする。