東洋大学が入試改革を推し進めていく一方で、日本大学は不祥事を連発。「日東駒専」の序列トップは日本大から東洋大にひっくり返った。しかし、東洋大は笑っていられない。推薦入試などを行う「年内入試」が人気になり、彼らが推し進めてきた入試スタイルが脅かされているのだ。特集『大学 地殻変動』(全21回)の#16では、日東駒専ダブル(W)合格者の進学率を徹底解剖した。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
日東駒専「W合格」勝負
日大陥落、東洋大が制圧
アメリカンフットボールの試合で悪質タックル問題が起きたのが2018年、元理事長が脱税で逮捕されたのが21年。そして23年の夏、今度はアメフト部員の違法薬物所持疑惑。日本大学は18年以降、スキャンダルを連発してきた。
日本大は「日東駒専」(日本大、東洋大学、駒澤大学、専修大学)の呼び名でくくられる首都圏の中堅大学群の一つ。日東駒専の中から二つの大学に合格した場合、どちらに進学するか。この「日東駒専ダブル(W)合格者の進学率」において、18年度入試までは日本大が他の3大学に勝利していた。
大手予備校である東進ハイスクールの分析によると、18年度入試では、日本大と東洋大のW合格者は6割超が日本大に進学した。しかし19年度に東洋大が逆転。23年度は大差をつけて8割弱が東洋大へ進学している(下表参照)。
日本大は不祥事連発でブランド力を落とし、自滅した。一方で東洋大は入試改革で成果を出した。これがW合格者の進学率の勝敗に表れ、くっきりと明暗が分かれた。
といっても、日本大を制圧した東洋大に勝利の美酒に酔う余裕はない。目下、彼らの入試スタイルが脅かされているからだ。
次ページでは、日東駒専W合格者の進学率の詳細を「学部別勝敗表」付きで大公開するとともに、東洋大を脅かす「2つの脅威」の正体に迫る。