福島県磐梯町は、全国の自治体に先駆けてDXによる行政サービスの刷新に取り組んでいる。その磐梯町で、公務員が交流のある自治体を訪れ、滞在する「旅する公務員」という実証事業を行っていると聞き、夏休み気分で取材に出かけた。楽しげな取材になるかと思いきや、そこで筆者を待ち受けていたのは「自治体DXの闇」だった……。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
福島県磐梯町が行う実証事業「旅する公務員」
地域課題の解決を目指す
会津磐梯山の麓に位置する福島県磐梯町が「旅する公務員」実証事業を展開している。職員が国内外の自治体でテレワークを実施。ボトルネックを洗い出すとともに、行く先々で互いの自治体の現状を共有し、地域課題の解決を目指すという。
楽しそう。そう筆者は思った。公務員はストレスの溜まる仕事だ。喧嘩腰で突っかかる住民、今すぐお金が欲しいと食い下がる高齢者――筆者がよく行く窓口で見た光景だ。人々の暮らしに踏み込む仕事だからこそ、公務員は多くを背負い込んでしまうのではないか。公務員にこそ旅が必要だ。夏休みシーズンだし、ぜひ取材したい。
こうして一路、福島は磐梯町へと向かったのだが、そこで待ち受けていたのは、「旅する公務員」が放つイメージとは真逆の「自治体DXの闇」だった。