地銀が信じる「地域密着」は時代遅れ、DXで勝つための再編戦略とは長年にわたり「地域密着」を掲げてきた地方銀行の経営戦略が、変わりつつある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

地理的条件を超克し
若者を取り込んだFFG

 地域密着は長年にわたり、地方銀行の伝統的、そして絶対的な経営戦略だった。しかしICT(情報通信技術)の進展は、地域密着を地方銀行の絶対的戦略の地位からステップダウンさせ、相対化させ始めている。

 好例は、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の動きだ。同行傘下の株式会社みんなの銀行は、「日本DX大賞2023」でBX(ビジネストランスフォーメーション)部門大賞を受賞した。

 受賞理由は、日本初となるスマホ完結のデジタルバンク“みんなの銀行“の設立だ。顧客起点でのビジネスモデルの変革やイノベーションの創出に挑戦する理念から、ユーザー理解に徹底して務め、内製化の体制を作り上げたことなどが受賞のポイントとなった。

 みんなの銀行は、ゼロベースで再設計された日本初のフルクラウド型の銀行基幹システムで、20カ月という短期間で構築され、2021年に開業した。そしてサービス開始2年で、デジタルネイティブ世代を中心に、九州という地理的条件を超克して全国から60万口座を獲得した。

 FFGの取り組みは、伝統的な地方銀行の生き残り策に一石を投じるものではなかろうか。地方銀行の地盤は、人口減少が続き、若年層の比率も低く、従来のビジネスモデルの維持が困難だ。