要するに税金逃れを許さないために、すべてのカネの出入りを政府が把握するという制度です。これは、米国などからの依頼もあり、マフィアなどが、マネーロンダリングで資金洗浄をして蓄財することを国際的に監視するのがその目的でしたが、最終的には、金丸信を中心とした自民党政治家の暗躍で法案は骨抜きにされました。

 当たり前です。反対派の旗振り役、自民党副総裁の金丸信が逮捕され、自宅にガサ入れが入ったとき、家には金塊がゴロゴロあったと、逮捕に臨んだ熊崎勝彦特捜部長は、のちに私に語ってくれました。逮捕理由も、日債銀の無記名割引債を申告せずに大量に保有していたことでした。

 自分たちが裏金で集めた政治資金を国家に把握されてはかなわない。税金など払いたくない。そんな人種が政権中枢にいるのですから、この手の制度は抜け道ができるに決まっています。

「明らかにおかしい」
政治と業者の癒着を疑う国民

 いまでも、全国の企業で個人情報漏洩事件は起こっています。必死で防衛してもフィッシッグなどにかかってしまうケースもあれば、ロシアや北朝鮮のように、国家的にハッキングしている国もあります。そして民間会社には、補償や懲罰が下されています。しかし、マイナンバーに関する今の日本政府の体たらくを見る限り、国家ごと個人情報を外国に盗まれる危険さえ感じてしまいます。

 そして、相も変わらず自治体や政府機関からも個人情報漏洩事件は続いています。しかし、すべて担当した業者が悪者にされ、業者を任用した役人と政治家の責任は追及されていません。

 これは明らかにおかしい。国民はこれを疑っているのです。今までの情報漏洩に関わった業者はたいてい、あまり聞いたことがない会社(有名な会社が安全というわけではありませんが)。横浜のケースのように、ハードディスクを中国に売るなどという姑息なことまでして商売をしないと経営基盤が厳しいという零細企業に依頼する神経が理解できません。

 しかし、横浜市民には、なぜこんな企業に委託したのか公表されていません。調べれば、多分政治がらみの話しがでてくるのでしょう。

 国会議員の私設秘書という仕事があります。たいていの場合、給料はなし。給料は自分で代議士の名前を使って口利きをし、その上前をハネテいるのです。超大物議員の秘書たちに聞くと、びっくりするような話しが返ってきます。