横浜市の個人情報漏洩事故
に見る「処罰」の甘さ
たとえば3年前、横浜市が大量の個人情報データを廃棄処理する会社に委託したところ、情報の入ったCDは廃棄されるはずだったのに、その会社がデータを消去しないまま、つまりCDを破壊しないまま中国に売っていたということが報道されました。
私はこれについて調べましたが、中国にデータを売った会社への処分や懲罰は報じられているものの、個人情報を適切に処分できる事業者としてこの会社を選んだ役人、さらにその役人を責任者に任用し、結果的にその会社に横浜市民全員の個人情報を託した林文子市長の責任や処罰は、まったく発表されていません。こんないい加減なことをする会社が、どういう経緯で横浜市の処理を依頼されたのかもわかりません。
横浜市のケースは子細にはわかりませんが、大方、政治家や官僚が知り合いの会社に仕事を頼むといった杜撰なことが行われていたように感じます。入札があるといっても、この手の入札に談合やインサイダーは付き物だからです。
もともとマイナンバーカードに近い政策は何度も試みられました。たとえば、住基ネット。現在の住民基本台帳は、1967年に制定された住民基本台帳法に基づいて運用されてきました。その後、コンピューター利用も進み、1980年からは漢字オンラインシステム、ICカードによる氏名や保険証番号の個人基本情報を記録する保健医療福祉カードを導入。1991年には住民票の写しの自動交付システムを導入しています。
さらに、大きな変革をもたらすはずの改正住民基本台帳法は1999年8月に公布され、2002年8月から運用が開始されています。
しかし、住基ネットで交付されたカードを使用した経験は私にもありませんし、マイナンバーカード交付時には「廃棄してください」とあっさり言われてしまいました。この制度の導入にどれだけ税金がつぎ込まれたかも明らかになっていません。また、この制度の導入にあたった政治家と官僚は、莫大な予算がフイになった責任をとったという話しも聞いたことがありません。
それより以前には、 グリーンカード制度というのもありました。少額貯蓄等利用者カードという名目で、大平内閣当時の昭和55年3月に導入され、少額貯蓄や郵便貯金の利子非課税制度の乱用・悪用を防ぎ、利子・配当所得の総合課税を目指して、昭和59年1月から実施することになっていました。