部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年#5Photo:Image Source/gettyimages

高年収の“勝ち組”商社パーソンの給料が爆増中だ。資源バブルによる好業績で、三菱商事では年収2000万円超えの30代課長が続出。おまけに2023年の年収はさらに上がりそうだ。特集『部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年』の#5では、総合商社の出世やリアルな給料の実態についてお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2023年4月1日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

初の「純利益1兆円」の大台を2社が突破
円安&資源バブルの絶頂決算で給与もアップ!

 三菱商事の純利益は1兆1806億円、三井物産は1兆1306億円──。

 大手総合商社が“絶頂”決算で沸いている。2022年3月期に各社が軒並み最高益をたたき出したところから、23年3月期は伊藤忠商事を除いてさらに利益を上積み。商社業界で初となる「純利益1兆円」の大台を2社が突破した。

 空前の好業績を後押しするのは資源バブルと円安だ。23年3月期の三菱商事の金属資源と天然ガス事業は計6099億円、三井物産の金属資源とエネルギー事業は計7482億円もの純利益を稼ぎ出した。

 数年前までは資源価格の低迷により、資源ビジネスは足を引っ張る“お荷物”とされ、商社も「非資源強化」を掲げていた。それが資源価格高騰で、再びカネのなる木に化けたのだ。

 平均年収が1000万円を軽く超す商社パーソンの高待遇ぶりは有名で、就職の人気企業ランキングでも上位の常連である。採用試験では有名大学の学生であっても平気で落とされる“狭き門”で、もしも突破すれば勝ち組入りが保証されるステータスだ。

 そんな商社パーソンたちの懐具合は、資源バブルによる好業績でさらに潤っている。「22年は賞与の業績連動部分が大きく増加し、年間賞与額が1000万円を軽く超えた」(三菱商事の中堅社員)と景気のいい声が聞こえてくる。

 業績が22年3月期より上振れた23年のさらなる年収アップはほぼ確実。世間をにぎわす数パーセントの賃上げどころではない“楽園”が待っている。

 総合商社の出世やリアルな給料はどうなっているのか。次ページでは、王者・三菱商事を例に、複数の社員への取材で見えてきた実態を解説しよう。