ビタミンB6は神経伝達物質を合成する際の補酵素として働きます。欠乏するとイライラ、記憶力低下などが起こります。肉、魚に多く、野菜、果物類にはほとんど含まれません。

 うつ病患者の治療に使われることもある葉酸も脳機能の維持には不可欠です。葉酸が豊富な葉物野菜を積極的に摂りたいものです。

 ビタミンは脂溶性と水溶性があり、脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンDは脳に届きます。ビタミンCも調節されながら通ります。分子量の大きいビタミンEだけは脳に届きにくいようです。

 水溶性ビタミンであるビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12などは容易に血液脳関門を通過しますが、ビタミンB6はこの関門を通過しにくく、脊髄液を介して脳内に移行することがわかっていて、多くのビタミン類は食べたり飲んだものがいずれかの経路にて、最終的には脳内にそのまま届くことになります。

脳によく胃も元気にする
ビタミンとミネラル

 ミネラルは不思議なことに、身体に有益な亜鉛やセレン、カリウムなどが速やかに脳に届きます。海水の成分はカリウムが多いのですが、細胞内の成分もカリウムは同様に多いです。生物が誕生した起源が海であることに関連しているのかもしれません。

 他方、有害かもしれないアルミや、脳が塩漬けにならないようナトリウム(塩化ナトリウム)は血液脳関門を通過できません。

 ただ、最近の研究ではマグネシウムやカルシウム不足になると、血液脳関門が壊れてアルミが入って、アルツハイマー型認知症のリスクが上がると言われ始めました。ラットを使った実験では、マグネシウムは脳浮腫を軽減し、血液脳関門そのものを保護するのに役立っていることがわかっています。

 ですので脳によい食材で胃の細胞も元気にしてくれるのは、ビタミン豊富な食材と健康ミネラル(マグネシウム、亜鉛、カリウム、セレン)に富んだものになります。

 反対に水銀のような有害物質が入ってしまうと、頭がぼーっとして思考力も落ちます。

 産業医として定期的に工場巡視をしていたとき、水銀中毒になっている方を何人か診ていましたが、ぼんやりとしていて頭がうまく働いていないようでした。水銀を解毒するためにはセレンを摂りたいです。