亜鉛は記憶や感覚などの脳神経の情報伝達を調節する役割があります。アルツハイマー型認知症になると海馬の亜鉛量が少なくなります。亜鉛が欠乏すると学習記憶障害、嗅覚障害が起こります。ホヤには亜鉛やセレンが豊富に含まれています。

 また、脳は水分を抜くと半分は脂質(リン脂質、糖脂質、コレステロールなど)でできています。

 脳内のブドウ糖とタンパク質からリン脂質は合成されます。ただ、体内合成されない脂質(アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸などの必須脂肪酸)は食事により、脳への補給を心がけなければいけません。

 大豆や魚油は必須脂肪酸の含量が高く、青魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)も血液脳関門はよく通過し、これらを摂取すると認知機能の改善につながり、記憶力・学習力の向上がみられる報告があります。

細胞を元気にする
ファイトケミカル

 国立がん研究センターがおこなった解析では、日本人約19万人を対象に平均約11年間追跡調査した研究で野菜をもっとも多く摂取している群は、していない群と比較して、胃の下部に起こる胃がんの発症率が0.78倍と有意に低いことが明らかになりました。これは野菜や果物の抗酸化作用によるものだと考えられています。

 面白いのは、女性ではこの関連性はなかったことです。女性は男性と比較して、野菜を摂っていて、リスクになるほど不足していなかったとみられています。

 ここからわかることは、野菜は食べれば食べるほど予防になるわけではありませんが、不足すると胃がんのリスクを上げてしまうのです。意識して摂りたいものです。

 胃に限らず細胞のアンチエイジングとして期待できるのが野菜などの植物に含まれるファイトケミカルです。

 植物は移動することができません。自分で自分の細胞を守るための有効成分をつくっています。それがファイトケミカルです。ヒトが取り入れることで活性酸素やフリーラジカルによる酸化を防止し(抗酸化機能)、老化やさまざまな病気のリスクを低下できますし、細胞自体を元気にしたり活性化する成分も含まれています。具体的には免疫機能や解毒作用、寒暖差に負けないよう細胞を守る成分などさまざまです。