一石英一郎 著
一方、ソーセージで有名なドイツは加工肉の摂取量と大腸がんは比例しません。これには古くからの方法でつくられていることが可能性のひとつとして考えられています。
胃がんのほとんどはピロリ菌感染により変化した粘膜(萎縮粘膜)が原因であると前述しましたが、萎縮粘膜の状態でもなぜか発がんする人としない人がいます。愛知医科大学は、ピロリ菌に感染している人では、生まれてから85歳までに胃がんに罹る確率を男性で17.0%(約6人に1人)、女性で7.7%(約13人に1人)と推定しています。かなり高率と考えられますが、逆に6人中5人は発がんしないのは、おそらく食事や生活習慣による違いだと考えられます。
ボクシングで言う“ワンツーパンチ”でノックダウンしやすいように、ピロリ菌により胃の粘膜がダメージを受けている状態で加工食品をよく食べていたり、喫煙の習慣があると2回目のパンチを食らってしまうと、がん化の引き金になるということです。
スナック菓子、ドレッシング、冷凍食品、ホットケーキミックス、ジャム、パン、ハム・ソーセージ、練りもの、ソース・たれ……。味、見た目、食感をよくするために現代ではありとあらゆる食品に食品添加物が入っています。
たとえば、食品にでんぷんを加えると、もちもち、サクサクと食感がよくなります。しかし、でんぷんは低温になるとボソボソとして水分も失われてしまいます。
そこで、でんぷんを安定させるために加工剤を加えた食品添加物がつくられました。それが加工でんぷんです。加工でんぷんは12種類あり、加工剤が石油でつくられているものもあります。欧州食品科学委員会(SCF)では発がん性が高いため、5歳以下に使用禁止や制限されているものの、日本ではなぜか安全性に問題がないとされて、年齢関係なく使われています。表示義務もなく、加工でんぷんと一括表示されています。増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料、乳化剤として加工でんぷんが用いられるものもあります。
食品添加物については、国が許可しているのだから安全だろうと高を括るのは早計です。世界では基準が違うということも認めたうえで、自分の健康を守るために何を食べるのかを選んでいただきたいです。