海のpH低下で何が起こる?

 地球環境においても、pHは密接に関わっています。地球温暖化の促進とともに、大気中の二酸化炭素濃度が上昇しつつあります。大気の間を落下してくる雨は、その間に二酸化炭素と反応し、酸である炭酸を発生するため、二酸化炭素濃度の上昇に伴い、雨のpHは下がります。

 近年、酸性雨による環境への悪影響が問題視されていますが、さらにpHの低下した雨が海に流れるなどして、海の酸性化をもたらしています。実際、海のpH低下は長期的な観測データから明らかになっており、炭酸カルシウムの骨格や殻を形成している貝類やウニ、サンゴなどは、pH低下により、十分な殻や骨格の形成ができなくなる可能性があると指摘されています。

 さらに、海は大気中の二酸化炭素を吸収し、平衡を保っていますが、温暖化によって海水の温度が上昇すれば、海水が吸収できる二酸化炭素量は減少するため、大気中の二酸化炭素濃度が増加し、温暖化が促進する可能性があるのです。

 このように、私たちの身近な暮らしから地球規模の環境問題に至るまで、ありとあらゆるものに大きな影響を与えている「pH」。知れば知るほど奥が深い「pH」の世界を覗いてみてはいかがでしょうか?