会えない時間が愛を育む、とはよく言ったものだ。時には愛が育まれすぎることもある。株式市場に戻った英半導体設計大手アームが14日、大歓迎を受けた。ソフトバンクグループによる買収完了からほぼ7年後、米ナスダックに上場。ソフトバンクの買収額は当時のレートで約320億ドル(3兆3000億円)だった。アームの株価は公開価格の51ドルから25%近く上昇して初日の取引を終え、終値ベースの時価総額は650億ドル超に達した。7年間で時価総額が倍増するのは、一見すると妥当かもしれない。人工知能(AI)から自動車、家電製品に至るまで、半導体チップは今や不可欠で、かつその役割が拡大していることを踏まえ、投資家は半導体関連企業の価値に目覚めた。新型コロナウイルス流行に端を発した半導体不足がそれを一段と明確にした。自動車メーカーは、1ドル以下のチップが入手できずに4万ドルの車を出荷できないこともしばしばだった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は今、ソフトバンクがアーム買収計画を発表した日の5倍近くに達している。同期間の米S&P500種指数の上昇は2倍にとどまっている。
上場のアーム、早くも割高感
株価売上高倍率は「AIのスーパースター」エヌビディアをも上回る
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