今週は誰もが米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)に注目しているが、アジアの2大経済大国の中央銀行はとりわけ注意を払うだろう。人民元と日本円の対ドル相場は、どちらも約10年ぶり安値近辺で推移している。人民元は年初来で13%、円は22%、それぞれ下落している。両国とも通貨安と闘っているが、経済状況は相当異なる。中国では不動産バブルの崩壊が企業景況感と消費者心理に重くのしかかり続けており、デフレを食い止める必要がある。一方、日本は数十年ぶりの高いインフレ率と対峙(たいじ)している。だが重要な共通点もいくつかある。成長への課題が山積する中、両国の中銀は相対的に緩和的な金融政策をとってきた。他の先進国の多くが金利を急速に引き上げてきたのとは対照的だ。中国は経済活性化のため、金利や銀行の預金準備率を引き下げてきた。日本は1990年代のバブル崩壊後に何年も苦しめられた教訓を踏まえ、デフレやデフレに近い状態に逆戻りすることを恐れて長年の超低金利政策の解除には二の足を踏んでいる。