ヘアアイロン市場では3位、ヘアドライヤー市場では6位の国内シェアを獲得しているKINUJO。大手メーカーが競合するなか、同社は社員数6人のベンチャー企業だ。なぜ同社はこれほどまでシェアを獲得しているのか。その秘密をKINUJO社長の上條亮太氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
ヘアアイロンの技術者との出会いで
ヘアケア市場参入を決意
大手メーカーがシェアを占める家電市場で、奮闘しているベンチャー企業がある。それが2012年に設立されたKINUJO(キヌージョ)だ。同社は、ヘアケア家電のメーカーとして、着実にシェアを獲得している。実際、ドライヤー市場ではシェア6位(7月単月実績)、ヘアアイロン市場では3位(同)となった。
そもそも、KINUJOはシャープやダイソン、パナソニックら業界ガリバーが多いヘアケア家電市場になぜ参入したのか。上條氏は同社の沿革をこう語る。
「KINUJO社の前身となるディシジョン社を設立した弊社の代表取締役である浜田智章がヘアアイロンの技術者と出会い、KINUJOのヘアアイロンに使用されているシルクプレート技術の存在を知りました。このシルクプレートをブランド化しようと思ったのがきっかけで、KINUJOが立ち上がったのです。私は、当時、別のWebマーケティング会社を設立していましたが、幼なじみである浜田に誘われる形でKINUJOに参画したのです」
上條氏が話すシルクプレートとは、髪が傷む原因の水蒸気爆発を抑え、髪へのダメージを最小限に抑える新素材だ。これによって、同社のヘアアイロンは保湿されたツヤツヤの髪を実現させている。このシルクプレートにほれ込んだ浜田氏と上條氏は日本のヘアケア市場への参入を決めたのだった。
「シルクプレートの技術はもちろんですが、そもそも家電業界は新規参入がほとんどないマーケットだったので、独自路線をやり切れば勝算はあると思ったんです。また、我々のようなベンチャーが入ることで、技術革新が起きることも意義があると思いました」
しかし、新規参入者への風当たりは強く、当初から順風満帆というわけではなかった。
「最初の2、3年は家電量販店さんから見向きもされないことが多々ありました。展示会に出店しても、販路拡大とはいかなかったのです。なので、当初は自社ECサイトなどで細々と売っていました。そんな中、ある展示会で某家電量販店のバイヤーの方から声をかけていただいたことが、飛躍につながったと思います」