唯一無二のラグジュアリーメーカーとして
3年以内に売上高を100億円に

 シルクプレートなどの技術の流出リスクについても、KINUJOの対策は独特だ。

「基本的に特許は出していません。特許を出すと構造をさらすことになり、資本力が大きいところには負けてしまいますからね。あとは、浜田は技術者界隈と仲がいいといいますか、ビジネス関係以上の絆が沢山あるので、良いアイディアや技術をKINUJOが優先的に手に入れている、という非常に属人的な対策もあります。開発、生産の業務をすべて担って浜田がほとんど海外にいることもあり、彼らの信頼関係は強いんです」

「コア業務はアウトソーシングせず、アナログなことでもメンバーで行う」と上條氏は言うように、こうしたアナログな部分もKINUJOの好調を支えているのだ。また新商品開発の参考とするユーザーのコメント収集も外注せず、メンバーで行う。前出の大森氏はこう話す。

「商品のレビューやSNSで投稿されているコメントは、私がほとんど読んで、洗い出しています。専門の業者さんにお任せしてお金と時間がかかるなら自分でやったほうが早いですし、よりリアルな声を拾えると思っているからです」(大森氏)

 こうした日々のリサーチなどを踏まえ、ヘアアイロンの後継機の発売を来年に控えているという同社。

 上條氏は今後のKINUJOの展望をこう語る。

「将来的には家電メーカーというより、唯一無二なラグジュアリーメーカーのポジションを視野に入れています。当社しか提供できない技術や体験をヘアケア以外のスキンケアや脱毛などにも広げることなどで、おそらく3年以内には売上高100億円を達成できると思います」

 上條氏と浜田氏は、ともに20代で起業し、現在39歳。二人の気鋭の経営者が率いるKINUJOの躍進は今後も続くだろう。