新入社員が現場に配属されてしばらく経過し、マネジメントにも慣れてきた頃ではないでしょうか。配属直後の新入社員はやる気に満ちあふれていて、キラキラ輝いている……そう見えているのは上司のほうだけで、実際には、モチベーションが低下している新入社員もいるようです。最初の数カ月の接し方によって、新入社員のその後は大きく変わってきます。10年以上にわたって人材育成に携わる現役コンサルタントが、35万人の就活生のデータから導き出した「新入社員との関係づくりの極意」をお伝えします。(リンクアンドモチベーション カンパニー長 宮澤優里)
論理的思考力や協調性に長けるが行動力は弱い
データで見るZ世代の特徴
一見すると問題なさそうに見える新入社員が、実は深く悩んでいたというケースは少なくありません。素直で前向きな子で良かったな、と安心していたら、配属3カ月後の面談で、「なぜこの仕事をやらなければならないのか分からず、しんどいです……。転職も考えています」などと打ち明けられることも。「配属3カ月でどうして?」と感じる管理職の方も多いのではないでしょうか。
最近の新入社員は、いわゆる「Z世代(1990年代後半から2010年生まれの世代)」に該当します。これから労働市場の中心になっていくZ世代とは、どのような特徴を持っているのか、データから見てみましょう。
当社の研究機関であるモチベーションエンジニアリング研究所では、就職活動生向けのサーベイデータ(2015年1月~2022年12月に実施した35万4141名が対象)からZ世代の傾向を分析しました※。この調査から見えてきたのが、以下の2点です。
※参考:リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所「『Z世代へ求められるマネジメント』に関する研究結果を公開」
(1)対課題力:「左脳的」な力が強い一方で、「右脳的」な力がやや弱い
Z世代は論理的思考力に長けている一方で、全体像や先行きが見えない中での行動力が弱い傾向にあることがうかがえました。あれこれ考えすぎてしまい、行動に移せないのはこの世代によく見られる特徴の一つと言えます。加えて、親や先生から怒られた経験や大きな失敗をした経験が少ないこともあり、「できないやつだと思われたくない」「失敗したくない」と考え、挑戦に踏み出せない傾向があります。