近年、大学と中学・高校が協力関係を結ぶ「高大連携」が加速し、学校再編の機運が高まっている。協定を結んだ中高一貫校に進学すれば、名門大学に高い確率で進むことができる。特に象徴的なのが、上智大学の動きだ。一方で、大学の付属・系属校の人気はいまだ高く内部進学者も多い。特集『わが子が成長する中高一貫校&塾』(全34回)の#7では、その理由を分析する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
力のない大学は打開できず
淘汰される時代が来る
「上智大学が40校以上、全国のカトリック系学校と高大連携協定を結んだ。すごい」と、安田教育研究所の安田理代表は驚きを隠せない。
今年9月末から10月初旬にかけて、光塩女子学院(東京都)、カリタス女子(神奈川県)、晃華学園(東京都)、南山男子部(愛知県)など複数のカトリック系学校が、立て続けに上智大と高大連携協定を締結したと発表した。
「高大連携」とは、付属校や系属校とは異なるかたちで大学と高校(主に中高一貫校)が結びつくこと。付属・系属校の場合、同じ学校法人であることがほとんどだ。かつ、中学・高校名に大学名の一部が入ることが多い。一方、高大連携では別々に存在する学校法人同士のタッグであり、大学名が中学・高校名に入らず、指定校推薦が設置されるケースがある。
では、なぜ連携するのか。背景には深刻な学生不足がある。なにしろ、文部科学省が今年7月、2040年から50年にかけて大学入学者数が年間50万人前後になる試算を公表。約63万人だった22年と比べて約13万人減少する。すでに全国約53%の私立大学で定員割れを起こしているのだ。
安田氏によれば、上智大の怒涛の高大連携協定も「大学の経営陣の危機感が一層強くなった表れだ」という。上智大のような比較的恵まれた大学が財力やマンパワー、知名度を生かし、先んじて入学者を確保する手を打っているというわけだ。逆にいえば、今後余力のない大学は打開策を取れず、淘汰される時代が来るだろう。
入学する側の親や子どもの視点から見れば、高大連携協定を結んだ中高一貫校に入れば、名門大学に進める可能性が高くなるお得なルートといえる。
次ページでは、高大連携協定が加速する背景に迫る。また、首都圏の有名私立大学の付属・系属校における内部進学率を掲載。付属・系属校の人気が高い理由と、付属・系属化するメリットについて解説する。