ガザ戦争で日本企業のサプライチェーンに何が起きる?深刻シナリオを専門家が考察地上侵攻が現実になれば、サプライチェーンに与える影響が本格化する。ただ、より深刻なのは、他国が戦争に参加するシナリオだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

イスラエルとガザでの武力衝突による、サプライチェーンへの影響、日本企業の活動にはどんな事態が起き得るのか。「IT人材」と「港湾」に着目し、地上侵攻が始まった場合、イランとエジプトがこの戦争に参加した場合と、段階に分けて考えてみたい。(未来調達研究所 坂口孝則)

イスラエルの起業文化はある意味、当然?
戦争の影響は「IT人材」「港湾」に注目

「起業なんて、何も苦じゃないですよ」。2019年にイスラエルに出張した際、あるイスラエル人に、この国の「起業熱」の理由を質問してみると、こう即答された。国の成り立ちから外貨を稼がねば生きていけぬとはいえ、イスラエルにはあちこちに起業家がいて、新たなビジネスについて話し合っている姿に、筆者は感銘を受けた。

「イスラエルには徴兵制があります。私の役目はサイバーと情報諜報でした。入隊すると鬼軍曹がいて、“ただちにイランのサーバーをハッキングしてミサイルを止めろ”と言われました。あの地獄の日々からすれば、起業のあれこれなんて何の大変さもありません」

 こう返されて、想定のナナメ上を行く話に、思わず苦笑してしまった(もちろん2023年10月現在だったら笑えるわけがない)。彼が言うように徴兵制が起業率の高い理由の全てだとは思わないが、イスラエルは技術のイノベーションと、その軍事転用が盛んだ。両者の“蜜月”が数多くの起業を招いてきたのも事実だろう。

 このときの出張で、イスラエルという国の宗教上の不幸を理解するとともに、その不幸ゆえの「強さ」も印象に残った。この国には技術が繁栄する仕組みのようなものが存在する、というのが私の率直な感想だった。

 周知の通り、パレスチナ自治区のガザを支配するイスラム組織ハマスが10月7日、イスラエルを大規模に攻撃した。これを受けてイスラエル側もガザを空爆し、両地で多数の犠牲者が出ている。この戦争による、サプライチェーンへの影響、日本企業の活動にはどんな事態が起き得るのか。「IT人材」と「港湾」に着目し、地上侵攻が始まった場合、イランとエジプトがこの戦争に参加した場合と、段階に分けて考えてみたい。