アクティビスト、つまり日本語で「活動家」と直訳するのが適切と思われるが、彼らは自分が思い描く世界の実現のため、敵を設定し、敵失を待ち、敵の弱い部分を攻撃しようとするのが一般的だ。彼らに対して適切な説明をし、情報提供をしたところで、問題を見つけ出し、騒ぎ立てて世論に訴えることから、説明をする側は無力感を覚えてしまうことも多い。「何を言ったところで、どう対策をしたところで、あなたたちは反対するのでしょう」ということだ。

 カップ氏が、そんな活動家ではないことを祈って、一つ一つ、問題を見ていこう。

「商業利益優先」というレッテル
大きな神社も財政難にあえいでいる

 まず、「商業利益を優先している」というレッテルだ。これはX(旧ツイッター)上でもよく見受けられる批判で、東京都議会議員の上田令子氏(自由を守る会代表)もXへのポスト(投稿)で、以下のように述べている。

「素朴な疑問なのですが 伊勢神宮、出雲大社などが、経済的に苦しいからと、神の森を伐採してビルやホテルを建てるのでしょうか。 絶対なさらないと思います #神宮外苑の樹木伐採に反対します」

 上田氏について、筆者があまりよく知らなかったことを告白しなくてはいけないが、調べてみると「月刊Hanada」にもよく登場する保守系の論者だった。であれば、何故にこのような投稿へと至ったのかは分からないが、地域の神社や寺が財政難に頭を悩ませている事実、そして、境内の一部を駐車場などの商業スペースとして活用していることは、よく知られている事項に入ると感じる。

 上田氏の地元ではそういった悩みを聞いたことがないのだろうか。「週刊ダイヤモンド」16年4月16日号の特集「神社の迷宮」には次のような記述がある。

《神社といえば、正月の初詣が最も稼ぎ時であることは間違いないのだが、意外なことに、「さい銭では経営が成り立たない」(ある神職)のだという》

《かなり古い調査ではあるが、日本一の参拝者数を誇る明治神宮ですら、「1人当たりのさい銭が100円に遠く及ばなかった」(明治神宮関係者)」とのこと》

 1人当たり平均100円にも満たないおさい銭の収入では宗教法人の財政がどうにもならないことぐらい分かりそうなものだ。