サービスを提供するHOKUTO代表取締役の五十嵐北斗氏に、後発でのサービス展開や今後のもくろみについて話を聞いた。

医師一家から学生起業「やはり医療に興味がある」と医学生向けサービス提供

HOKUTOの設立は2016年3月。2018年1月には、医学生向けに卒業後、研修医(レジデント)を受け入れる病院の情報や口コミを掲載する「HOKUTO resident」をリリースした。

五十嵐氏は北海道の出身。父や弟、いとこらが医師という家庭環境にあり、医学部へ進学する高校時代の同級生も多かったという。自身は医学の道へ進まず、1人上京して学生時代に起業したが、「やはり医療には興味がある」ということで選んだ事業がHOKUTO residentだった。

「東京に住んで通学したり、そこで会社を設立したりしていたので、北海道の医学生の友人たちが訪れて、うちをホテル代わりの拠点として就職活動を始めたんです。それで、病院を見学しては『この病院はいい』『あそこは悪い』と相談する声を聞くようになりました」(五十嵐氏)

五十嵐氏の父親は道内の医学部に進学し、そのまま道内の病院に就職していたため、五十嵐氏には「道内の人はみんなそうするものだ」というイメージがあったそうだ。だが五十嵐氏の話では現状、「7割ほどの人が出身地ではない大学の医学部に進学し、卒業後は首都圏の病院に就職したいとの意向を持っている」という。

五十嵐氏の家に集う同級生ら友人も、東京の病院に勤めるために滞在していたわけだが、「北海道にいると東京の病院の情報がない。口コミベースでかき集めた病院の情報も、実際に見学に行って聞いてみると違っていたということが往々にしてあった」と五十嵐氏は言う。

「病院側も何とか医師不足を解消するために『うちは救急科が強い』などと“盛って”情報発信してしまうことがあります。それで学生が北海道からわざわざ東京まで来て、見学に行くと期待と違っていて、文句を言いながら帰ることになる。そうした例が3件ほど、立て続けに起こったので、『これはペイン(課題)だ』ということでつくったのがHOKUTO residentでした」(五十嵐氏)

HOKUTO residentでは、地域別で各病院の得意とする専門科や忙しさの度合いなどから、研修医を受け入れている病院が検索可能。医学生は自分に合う条件の病院を探すことができる。初めは五十嵐氏が全国を回って、各地の医学生に近隣病院の情報をヒアリングしていたが、現在はユーザーが口コミを1つ書き込むと情報を閲覧できる病院が1つ追加されるという仕組みで情報を収集している。