HOKUTOの画面イメージ
HOKUTOの画面イメージ
HOKUTOアプリのホーム画面
HOKUTOアプリのホーム画面

HOKUTOが目指すのは、医師の意思決定プロセスを効率化し、患者に向き合う時間を増やすことだ。多忙な医師のために、医学情報のインプット、必要な場面での参照、臨床現場でのリサーチを1つのアプリでサポートすることで、これを実現しようとしている。

最初は、HOKUTO residensユーザーだった研修医の間でHOKUTOの利用が広がり、「最近では研修医だけでなく、もっと上の世代まで使われるようになった」と五十嵐氏。現在は、国内にいる医師の10%にあたる、約3万人の医師が会員となっている。

マネタイズは製薬会社からの広告掲載で行っているHOKUTO。競合となるのは冒頭にも挙げたエムスリーやケアネット、メドピアのサービスだ。ただし五十嵐氏は「それは製薬会社から見た媒体としての見方。医師から見れば、これらの企業とは競合とはならない」と説明する。

「これらの企業が提供するのはどちらかというと、ニュースメディアとしての価値です。例えれば『Yahoo! ニュース』や『SmartNews』のようなポジションと言えるでしょうか。一方で我々は、臨床現場で検索して使えるツールを提供しています。立ち位置としては『Slack』や『Google(検索)』に近いポジションです」(五十嵐氏)

五十嵐氏は、HOKUTO residentを通じて医学生の頃からユーザーとなる医師のシェアを押さえている点が、HOKUTOの強みとなっていると言う。また、スマートフォンアプリとしてサービスを提供しているのもポイントだと五十嵐氏は語る。

「実は医師が臨床現場でスマートフォンを開くようになったのは、ここ数年の話。以前は病院でスマートフォンを開いていると、年配の先生方に『遊んでいる』と思われるような環境でした。ところが医療情報が爆発的に増えてしまって、今や年配の先生も、スマートフォンを開いて臨床現場で意思決定する機会が増えましたし、そうせざるを得なくなってきました。その需要に応えるかたちで、HOKUTOを提供することができています」(五十嵐氏)

スタートアップ起業家らが注目した巻き込み力と市場規模

HOKUTOでは、医薬品のデジタルプロモーション(広告)の分野において、数年で1000億円以上の市場にリーチできると想定している。また、広義の製薬企業の販促関連マーケットでは1.5兆円規模に拡大すると考えている。市場拡大の背景には、医薬品情報提供を通じて、自社の医薬品採択を促す“医薬品の営業担当者”であるMR人員の減少と、コロナ禍によるMRの病院への訪問規制も影響しているという。