ただし、これはもちろん経営チームとの信頼関係があってこそできる話です。経営チームのビジョンや哲学を理解し、自分の言葉で言語化できなくては信頼を得ていくことはできませんし、ましては巻き込んでいくことは難しくなるでしょう。

そのためにはとにかく愚直にコミュニケーションを重ねていく必要がありますし、経営チームの小さな考えの変化にも気づけるように、日々チューニングしていかなくてはいけません。1on1のように形式ばったものではなくても、雑談でも構わないのでコミュニケーションの頻度を増やしていくこと。地道な取り組みの先に経営チームとの信頼関係があります。

社内コミュニケーションにヒントはある

コミュニケーションに関しては、何も経営チームだけに限った話ではありません。

私はメルカリに転職したばかりのころ、エンジニア採用を始めるにあたって、社内のエンジニア20人と1on1を実施しました。「どこでメルカリを知りましたか?」「何がいいと思いましたか?」などといろいろ話を聞いたのですが、思わず膝を打ちたくなることがたくさんありました。

たとえば、「採用媒体のOGP画像で週刊少年ジャンプやMacBookのケースの上にMacを乗せている写真がよかった」と言われたこともありました。少し極端な例かもしれませんが、雑多な感じがスタートアップらしくて惹かれたそうです。私はもともと、大企業に勤めていたこともあり、自分だけでは気づくことのできない視点でした。

エンジニア採用に悩む人は多いと思いますが、採用したいエンジニア像は社内にいるわけです。社内のみんながリスペクトするエンジニアが、一番採用したいエンジニアでもあるので、社内コミュニケーションを通じて経歴や入社理由、エンジニアが見ている採用媒体などの情報をインプットしておくことには意味があります。

あわせて、エンジニアに限らず、社内Slackのさまざまなチャンネルに参加したり、1日の予定に社内コミュニケーションの時間を設けたりすることはおすすめです。

「ちょっと無理をすればなんとかなる」を積み重ねない

何か新しいサービスや面白そうなサービスを見つけたら、好奇心のおもむくままにまず使って見ることを推奨したいです。

そのフットワークの軽さこそがひとり人事の醍醐味です。私もカジュアル面談プラットフォーム「Meety」やキャリアSNS「YOUTRUST」などを早い段階から使っていました。また、IT勉強会支援プラットフォーム「connpass」を使って、採用イベントなども開催していました。ひとり人事にとって、好奇心は非常に大切だと思います。